第二十二回 二足す二=Wの設定?


 ――くどいようだけど、もう二人の間に『ちゃん』は付けない。透明感バッチリで壁は持たないという意味。……僕なりの覚悟だ。可奈かなは、それに応えてくれている?


 そう思いたい。


 いやいや、そうなのだ。初来店の『海里かいりと書いてマリンと読む喫茶店?』……何のお店なのか? 得体の知れないこの店に、僕と一緒に入店してくれるという可奈……。


 ニッコリ、頷いた。

 出すものは勇気で、レッツ入店! たとえ喫茶店でも、僕には初体験だ。



『そこはね、……あまりにも白く、

 僕たちの身を何億光年? 宙の遥か彼方まで飛ぶように、あまりにも眩く包んだ!』



 ――と、夢だったのか?

 そのような店だったと、今この場で僕は語る。


 ……現実的な場所。今いる場所とは、

 それは三階……七月も末の、穏やかな夏休みの情景を描く校内に於いての芸術棟。


 まずは報告。次に連絡。三つは相談。


 椅子に腰かけ対面式で、机を挟みカタカタと、NPCノートパソコンのキーボード弾く音がこだまする場面。可奈が見守る中で、大いなる緊張感の中、僕は片言と語る。


 ――ここには三人いる。


 察しに通り可奈と僕。あと僕が対面している相手とは、この空気との一体化を図って更にシリアス化したMさん。いや、今は『瑞希みずき先生』の方が相応しい。


 ……この場を借りて、僕がイメージしていることを述べるのなら、今組んでいるプラモデルの旧キット。例えるなら『リアルタイプ』だ。尚且つ僕の好きな緑色の『量産型』とは違って、紅燃ゆる『プロトタイプ』……と、まあ、そんな感じだ。

 瑞希先生の問いは『二足す二=Wの設定』だった。う~む、暗号みたいな表現だ。




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