第二十一回 数字に例えたら、七の三倍。


 ――ラッキーセブンは三倍。足取り軽し。前向きで明るいエピソードに期待し、強気なペダルをぐ。僕のピンクな自転車の隣に、僕を恋人だと自称する可奈かなちゃんが、赤い自転車を並べて走行。……うむうむ、題して『ママチャリ並列走行』だ。



 危ないよ!


 との飛び交う視線。目は口程に物を言う。


 気付いたなら、道行く歩行者にとっては迷惑な行為。だから前後に並ぶ。ちゃんと左側通行。歩道と車道の境の場所に設けられた自転車専用道路を、まっしぐらに進んだ。



 今回で、ラッキーセブンの三倍となる『りかのじかん』の二十一回目のエッセイ。


 宇宙服型ロボットのプラモデル作りで『千里せんりプラモデルコンクール』に出展することに於いても、何よりも『ザ・脚本』に対しても、――可奈ちゃんは、僕についてくる。


 喧嘩しても、いつの間にか仲直りしていて、


 PCの応援&コメント。お家に来てくれて、プラモデルも手伝ってくれて、結構スパルタ的要素はあるけど、『夏休みの理科の宿題』を教えてくれたりして、……本当に、本当に僕にとっては、無二の親友だと思う。


 ……まあ、それが発展して『百合』になったようだ。



梨花りか、ここじゃない?」


「あっ、そうだね、可奈」


 もう『ちゃん付け』はなし。でも、台詞せりふは記した。これが今の僕たち。駐輪場と思われる場所に自転車を止める。つまり駐輪。二台揃えて。着いた場所は……。


 あれれ? メモの通り五番町のはずだけど、


 喫茶店? それも七十年代の(生まれてないけど)学園街に登場しそうな『海里かいり』と書いて『マリン』と、ルビーが添えてある橙色の看板。小さなお店だった。



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