第二十回 三人のMさん?


 ――世の中には、自分に似た人間が三人いると云われているが、このエピソードは、そうではない。Mさんなら分身の術を使えたり、量産型も存在しそうだけど……、決してそんなこともない。ラガーマンを目指して十五名に拡大した演劇部の中に、Mというイニシャルが三名、存在するということだ。



 そのことを、


「Mさんが教えてくれた」

 と、そう言ったら、のちの説明で混乱を招くから、『Mさん』というキーワードを解除して、ニュース番組みたく目元にモザイクが架かるということもなく、素顔のまま。


 社会人になると、


 社会的な責任が義務づけられる。未成年の頃のようにAさんBさんと、氏名にもモザイクが架かることもなく報道されてしまう。……それは、どの程度の罪なのだろう? TVで全国ネットだから、よっぽどだろうね。マスコミも暇ではないし。……まあまあ、それと同じように? 一人目のMさん、瑞希みずき先生が紹介してくれた。


 手段はコメントに……それこそ暗号化は必須項目。従って、ジャンルをエッセイから推理小説へと変換し、その上に解読が必要だ。ならメールは? ダメダメ、個人情報が表沙汰になってしまう。……などど、様々な方法を試してみたけど、所詮は策や法。自然の哲理の前では無力だ。だからこその膝詰めの対話。時代を超えても、最高の行動。


 お互いの顔を見て語る。


 温かな絆が、そこにはある。人の間に人。だから三人のMさん。……ノリだけど。



 二人目は『未来みらい』という名の男性。 三人目は、五番町に住所を持つ『マリ』というニックネームの女性。――二人とも、演劇部のОB。四年前の八月二十四日。僕は、この二人を中心とした舞台を見た。……それが、それこそが初めての出会いだった。


 ――瑞希先生からメモ一枚。これから僕は、その二人に会うことになるのだ。



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