第二回 ……帰り道は?


 ――正午よりも少し前。一人ぼっちで歩いている。



 緑が広がって、美味な空気のはずなのに、

 八時丁度とは正反対で、

 センチな溜息まじりだ。



 私立大和やまと中学・高等学園に入学してから二度目の試験。……一学期末考査。期末試験と言った方がわかりやすい。今日は、その最終日。やっと試験から解放されたのだ。


 嬉しい。

 嬉しい……はずなのに、


 何でだろう? 明日は楽しい七夕なのに、


「グスッ」


 このお空と同じように、

 今にも泣きそうだった。


 何でだろう? 明日を楽しみにしていた。

 それなのに、喧嘩しちゃった。


 クラスの子。中学生になってから、ずっと仲良しだった。



 すると、ポツリポツリ。

 一瞬で、ザーッと降り出した。……あっという間だった。


 でもね、

 泣き顔を隠してくれた。激しいけど、僕には優しかった。


 家の前、着くと晴れ渡る。青いお空。


「おかえり」

 と玄関で、ママがニッコリ、僕の濡れた髪にタオルを被せてくれた。



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