灰色の空

幸野曇

灰色の空の下

 夏。



 今日の空は灰色だ。



 太陽は見えるが、昨日のように眩しくはない。



 それにもうすぐ雨が降りそうだ、空全体が高層雲で覆われている。



 雲の種類をあまり知らない一般人にはこの雲が雨を降らせるのか否かは分からないのだが、天気予報を見たからか、大体の人々が傘を持っている。



 地上を見渡すと、この天気について話している人の声が聞こえてきた。



 鼻高々に高層雲について語る高校生、この人は近くにいる人々に引かれている。



 傘立てに近くのコンビニで買ったと思われるビニル傘を置いている若い男性二人組は、一瞬空の話をしたが、すぐに学校関連の愚痴になった。



 私立中学生の男女はお揃いの傘を持ち、それと空の話をしながらバスを待っている。彼と彼女は今、カップルになった。




 ____雨が降り始めた。小雨でも豪雨でもない、いたって普通の雨だ。



 小走りで店に入り安堵したお洒落な女性は、天気予報どうだったっけと呟いた。



 会社でパソコンの画面に向かっている若い男性は、一瞬窓の外を見、隣の机の中年の男性と少しだけ会話して仕事に戻った。




 この灰色の空の下で、多くの人々が生活している。



 明日はどんな空だろうか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

灰色の空 幸野曇 @sachino_kumori

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ