小学校の頃の時分の話である。
校庭に埋められた猫の死骸に幾匹もの蛆が這いずるのを見た。それが私の恐怖の原風景だ。
ADHDの人間はゴミの処理を疎かにしてしまうのが世の習い。習いとはいうがやりたくてやっているわけではもちろんない。気づいたらそうなっているだけだ。
実家暮らしをしていたら家族が最悪の事態になる前に始末をしてくれるのだが……人暮らしになってからは部屋の掃除が難しくなってしまった。
特に困るのが生物の処理だ。いや、直近のゴミ捨てのタイミングで捨てればいいことはわかっている。わかっているが捨てられないのが私たちの病気なのだ。
そうしていると現れるのが奴ら、すなわち蝿だ。
蝿はぷーんとやってきて、私に恐慌与えていくのだ。つまりは無数の卵を生ゴミに植えつけ、そして無数の蛆が生まれる。
幾たび私もその事態に悩まされたことだろうか。一時期は蝿の幻覚を見るほどに事態は重かった。
そんな私だからこそこの小説は刺さった。
というか実生活で悲しくも見慣れてしまった生物たちの物語だ。そりゃ刺さる。
というか、肌に蛆が、って汚部屋主なら一回は考えるよね?ね?
今も汚部屋脱却からは遠いけれど、奴らの姿を見るたびに思うわけだ。
もう少し身綺麗になっとかないとな、と。