企画から来ました。
かなり独創的で素晴らしい話だったと思います。なんとなく有川浩の「塩の街」を思い出しました。
ストーリーですが、あの天使視点の終わり方のおかげで、それまでの日常描写がより「生きた」ものになってますね。
天使がずっと主人公に諦めないように促していたのは、逆に天使が主人公に縋っていたようにも感じられましたね(未練がましく玄関を覗き込む場面など)。
文章に関しては少々言い回しが古く感じましたが、残った手記と言う設定を知って納得しました。私のレベルでは何も言うことは出来ません。カクヨムの中でもかなり高いレベルだと思います。
ただ、淡々と進んでいくところが味だとは思いますが、逆にそれが苦手な人もいるかも知れません。
個人的にはとても楽しませて頂きました。
作者からの返信
コメント及び評価をありがとうございます。
お褒めいただきまして恐縮です。
「塩の街」は読んだことがありません。今度読んでみようかと思います。
おっしゃる通り、あえて物語の起伏を抑えたので、エンターテインメントを望む方々の受けは悪いかもしれません。
それでも一部の方々に何かしらの感動を与えられるのであれば、本望です。
お読みいただきありがとうございました。
「地上」というものが消え、すべて「天」になり何もかもが昇華されてしまったのですね……。
だけど、ニコルの手記だけはアンジェリカの手元に残り、アンジェリカの記憶の中にも残り続けるんですね。
美しくもせつない、心に響くラストでした。
完結お疲れさまでした。
作者からの返信
コメントありがとうございます。
もともとは〝後世に残された手記〟という形で始まった物語。
ではどうやって残ったのかを考えると、それはやはりアンジェリカの手によるのではないかというのがありました。
はたしてそれが、人間の手に渡るのかまでは未知のままですが……希望の種は残っていてほしいなと思います。
お読みくださり、ありがとうございました。
空は墜ちてきたのではなく、「空っぽ」という状態が地上にも侵食してきて、そして塗り替えてしまったのかな……なんてことを想像しました。
空っぽになって何もなくなってしまったけれど、ここで生きていたニコルさんの手記が残っていることで、存在まで完全に無くなりはしなかったというのがとても良いなと。誰もおらず止まった部屋の中で、アンジェリカだけが動いている描写がすごく好きですし、そこに漂う寂しさはこれまでのニコルさんの姿を見てきたからだと思うと、これまでの何気ないエピソードすべてがかけがえのないものに思えてきてしまいます。
飛べなくなっても籠から出ていった鳥のように、アンジェリカも自分がいたいところ、いるべきところ、また春が来る場所へ飛び去ったのでしょうか。とても淋しいシーンでありつつ、どこかで繋がりが始まる可能性にも見えました。
長くなってしまいましたが、とても深い余韻と思索に浸れて、ひんやりとしてどこか寂しい感じが心地よい作品でした。素敵な作品をありがとうございます!
作者からの返信
コメントおよび評価をありがとうございます。
「空っぽ」、そうですね。世界が行き着いた先はそれかもしれません。この最終話は、胸に空いた風穴に冬の空気が染み込むイメージで書きました。その気分を表すなら「空虚」なのかもしれません。
もともとは表題作の短編があり、残りはおまけ的な位置づけでした。なので、手記は本作で大切なものとなっています。天の墜ちた世界でアンジェリカに何か遺すならこれだろうと思っていました。
お楽しみいただけたようで良かったです。
お読みいただきありがとうございました。