リアについて

クロムでもリアについて分かっている事はプロフィール上の事しか知らない。だが、クロムはそんなリアと契約して、「迷宮」の攻略に彼女を連れて行っている。


「そもそも、何故リアさんとそんな契約を……?」


「彼女の強さは耳にしていましたからね。パーティーメンバーに入っていただけないのは残念ですが、契約内容はこちらに十分うまみがあるものですし」


「だな。パーティーメンバーでなくても、あいつを「迷宮」に連れて行けるだけでなく、報酬も平等に分けてもらって構わないって話だからな」


確かに、リアから提示された内容はクロム達にとってうまみしかない話だ。クロム達が飛びつかない訳がない。


「まぁ、それ故にリアさんと行く時はメンバーを最小人数で挑むようにしてますがね」


クロムの言葉にティリアはようやく何故たった4人であるのかという理由に得心した。平等に報酬を分けていいとはいえ、魔物の全てはリアが倒しているなら、どう考えても取り分はリアが多く貰わなければ割に合わないはずだ。それでも、契約で平等になっているから、せめてメンバーを最小にして、報酬を少しでも多く渡す配慮をしているのだろう。


「けど……そもそも何でリアさんはそんな契約を……?」


やはり生まれてくる疑問はそこだった。どう考えても自分が不利になるような契約を?それをするぐらいなら、クロムのパーティーに入れば、パーティーメンバーの中でもかなり上位位置に……いや、下手したらクロムに変わってリーダーになってしまう可能性だってあり得るのに……


「まぁ、これはあくまで推測ですが、一つだけ考えられる理由がありますね」


クロムはそう言って一口お酒を飲むと



「彼女は厄介な事情を抱えているが故に目立つ事を極端に避けているのかもしれませんね」

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全て失った令嬢は、偶然にも双子の魔王の娘を拾ったので復讐の道具にしようと思ったけれど、娘が可愛いので復讐辞めて母親になります 風間 シンヤ @kazamasinya

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