リアの年齢

「新魔国」にある宿酒場「ノワール」。ここは、冒険者達がよく利用する酒場で、当然ながらクロム達もここを利用していた。そして、今日は本日の攻略達成を祝して飲み会が行われていたが、リアだけは「私は先に帰るから」と言って不参加だった。


「あの……リーダー。リアさんは一体何者なんですか?」


ティリアは失礼だとは思いながらも、身を乗り出すような形でクロムにそう尋ねた。クロムはそんなティリアの態度を大して気にも留めず、お酒を一口飲んでからティリアの問いに答えた。


「リア。冒険者ランクはC。年齢は28歳。現在は、新魔国から離れた場所にある家で……」


「ちょっ!?プロフィールとかが聞きたい訳じゃ……って!?28!!?」


淡々とリアのプロフィールを紹介してくるクロムにツッコミをいれたティリアだったが、リアの年齢を聞いて驚いた。


「28って……!?リアさんは私と同い年じゃないんですか!!?」


ティリアの年齢は現在18歳である。冒険者には15歳からなれるので、冒険者歴は自分よりも3年先輩だけど、年齢は同い年かな?とそうティリアは考えていた。


「嘘じゃないですよ。彼女がこの「新魔国」で冒険者ギルドに入ったのが18歳の時で、それから10年経っていると聞いてますから、28歳で間違いないはずです」


クロムは嘘や冗談を言う性格ではない。なら、本当にリアは28歳なのだろう。とても30近い女性には見えないが……


「まぁ、見た目と年齢が合致してない例なんていくらでもあんだろ。俺だって今年24になるからな」


「えっ!?嘘……ですよね……?」


「嘘じゃないって。そして、お前の反応でお前が俺を何歳に見ていたかよく分かったよ」


グランはティリアの反応に軽く溜息をつく。グラン、「重戦士」ならではの体格と、漢らしい顔というか……老け顔というか……そのせいで実年齢より上に見られるのはよくあるので慣れていたが、あまり気分が良いものではない。


「ちなみに僕は今年30になりますね」


「えっ!!?嘘でしょ!!?」


クロムの発言に、クロムが自分の所属するパーティーのリーダーである事を忘れて驚愕の叫びを上げるティリア。

クロムはリアのように10代の年齢とまではいかないが、20代前半の美青年だと皆聞かれた答えるだろう。そんな彼が今年30で、先程「迷宮」攻略していたメンバーで1番歳上だとは思えなかった。


「まぁ、そういう事です。つまり、見た目と年齢が合致しない人なんてよくいるという事ですよ」


「はぁ……そう……ですね……」


若干納得していないものの素直に頷くティリア。


「それで……あなたが聞きたがってるリアさんについては…………僕もプロフィール以外の事は分かりません」


クロムははっきりとそう断言した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る