■第二章: Bloody

第6話 銀色の雪

■第二章: Bloody(ブラッディ)

 雨の代わりにガラクタ色の雪が降る。どうやら無数に稼働していたナノマシンが太陽風に中てられてダストになってしまったようだ。空気中の金属を含んだゴミが雪のように降り続ける。今日の天気はまるで海底のように薄暗い。鈍色のゴミが雪みたいに振り続けるからマリンスノーみたいだった。

「サツキ、大丈夫かな」

 工場跡地には隔離施設があるものの、空気清浄機能がイマイチだった。今日見たいな日は体性の無いタイプは、磁気や金属にアレルギーを起こしかねない。サツキがどれだけ耐えられるかなんて未知数だった。


(一部-完につき、次の更新11月1日以降)


◆予告


 そんな生活ばかりしていたけれど、たまにはイレギュラーも起こるようで、頭を抱えたくなる。

 通電板にはカシラからのメッセージが張り付けてあったのだ。気乗りしないまま、約束の時間までにアジトへ向かう。道中で三下がやけに浮いた話をしていた。どうやら新しい養殖施設からの子供攫いを立案しているようだった。

「サツキの収穫が減ったから、新しい子を仕入れなきゃならんと思ってね」

 推測した通り、カシラも周りと同じ話題を俺に持ちかけた。前にラインハルトが言っていた件を思い出す。フミヅキが指す〝みんな〟とはいったいどこらへんの人を指していたのだろうか。同じ奇形児なのか、養殖箱の管理ロボットなのか、……あるいは別のモノなのか。

「なんか、嫌だな」

 形のない憂鬱が肺の中に沈殿する。深く息を吸って、カシラのところに向かうと、大勢の仲間が集まっていた。まるで円卓で会議をする騎士かなにか。……円卓の騎士など、実際には見た事ないけど。

「全面戦争の始まりさ」

 カシラは一言。決定的な言葉を言うと、あたりは静かになった。

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ウタカタ銀世界 天霧朱雀 @44230000

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