189カオス 読み切りを書きました
読み切りの新作を書きました。
『不安な果実』という4000字あまりの短編です。楽しめて書けました。わたしがノリノリで書いていることが、読んだ人にほんの少しでも伝わればいいのですが。
これはいつものことなのですが、小説を書きはじめるときは、
――さあ、やるぞ! すぐにおれの傑作を読ませてやるから腰を抜かすなよ。
という、かなりイレ込んだ調子で小説を書きはじめます。
でも、多くの場合、調子がよいのは最初だけで、ほどなく執筆の勢いは失われていきます。早いときは、数行書くと、もうその先が書けなくなってしまうこともあります。こうなると小説を書くのが憂鬱で仕方なくなります。
――書くのがいやだ。書きたくない。ぜんぜん上手に書けない。ハマってしまって、次へ展開させられない。こんな小説やめたーい。
鬱陶しいですか? スミマセン。わたしの心の声の描写なのです。うじうじと同じようなことを頭のなかでぐるぐると考えながら、一行書けば五分考え、三行書けば二行削るといった作業を延々と繰り返せば、うっとおしくなってしまうのです……。
小説を書いている期間の基本的な心理状態は、この「書きたくなーい。やめたーい」というやつで、七割くらいの期間はこの状態でいます。小説を書くという苦行を重ねているっ感じ。正直、つらいです。
ただ、つらいことがあれば、また楽しいこともあるわけで、物語の山場――たいていはわたしがもっとも書きたいと考えている箇所――に差し掛かると、俄然やる気が出てきます。
これまでの「つなぎ」の場面を書かされてきた鬱屈の反動もあって、「見せ場」を書くときは、ノリノリで書くため、めちゃくちゃ楽しくなります。クスリをキメているわけでもないのに、やたらハイになって筆が進みます(そのため誤記が増えるのですが……)。
――めちゃ、楽し〜い。小説最高!
そうしているうちに、やがて小説を書き終わるときがやってきます。
どうやって〆ようか。オチがつくようなラストにするのか。余韻を残すような書き終わりを選ぶのか。物語が循環するような構成にまとめるのか……などなど、物語の幕引きにはあれこれ苦しむのですが、言うなれば楽しい苦しさですね(マゾ?)。
そしてついに、物語のさいごに「了」の文字を書く(あ、わたしは書かないタイプでした)ときがやってきます。
書き終えたときの、恍惚とした達成感には、なにものにも代え難い麻薬的魅力があります。幸福感です、書き終えたときのわたしはしあわせです(笑)愛の告白を受け入れてもらったときのように(変態? 爆)
今回もしあわせのうちに書き終えました。
『不安な果実』は、エッセイに書こうかなと思ったネタをもとにした小説です。読んだらわかるんですけど、これからの小説にはいままでの小説にない付加価値が求められるんじゃないかって思うんです。
ネタバレですが、じっさいにペンを手に持って書くという身体性と、それを実感するための手書き原稿の書籍化が、ひとつの可能性として実現しないか――という小説です。
たぶん、できなくはない。
作るとしたら、肉筆原稿を書くのがそもそも大変ですけど。わたし字が汚いし(字が汚い人は、商業ベースに乗せるのが難しいアイデアです)。
それそのものを読んでもらう前提で書く原稿って、小説の場合、ないでしょ。書籍化されて活字となって読んでもらうのが前提として小説家は原稿を書くじゃないですか。
でも、漫画家は原画展で漫画原稿を見てもらったり、買ってもらったりする(最近、やたら『漫勉』の動画をみてるので感化されている)。雑誌や単行本では感じられない漫画家のタッチを原稿から感じとることができる魅力があるとか。
じゃあ、小説だってそうした原稿の発表機会があっていいんじゃないの? と思って書いたのが『不安な果実』の元ネタです。安直? いや、なかなか魅力的だと思いませんか、じっさいペンで字を書くってとても楽しい行為ですよ。(いまわたしはスマホでこれを打ってますが 汗)これからますますデジタル化が進行し、量産されるだろう電子書籍の反対極にある本として、話題性も希少性もあると思うし。
書籍化はムリとしても、自作を自筆でリライトするのは趣味としておもしろいんじゃないかとわたしかなり前向きなんですよねー。きれいに製本すると世界にひとつだけ、わたしだけの本を作ることもできますしね「手作り製本」って検索するといろいろヒットするし、やれそうだな〜。退職したらやってみようかな〜。
さいごは独り言になってしまいました。お粗末でした。では、今回はこの辺で。
『不安な果実』
https://kakuyomu.jp/works/16816410413897024794/episodes/16816410413897107435
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます