157カオス 底の割れる人物描写

 前回、メタファーについて書きましたが、まだ続きますよ。わたしは自分でも驚くほど暗喩(メタファー)について、言いたいことがあるということがわかったのです(笑)。


 メタファーを理解しようとすると、一定以上の知識や教養が必要になります。


 なんで?


 考えてみてください。直接対象を描くのではなく、殊更もって回った表現を使って描くのです。そのメタファーを読み解く鍵(知識)と、その鍵を使いこなせる能力(教養)が必要になるのは仕方がありません。


 これ、知識と教養を備えた人には、とても気持ちの良い作業なんですが、そうじゃない人には苦痛です。ただ苦痛だけならまだしも、鹿んです。これが分からない人は、わたしの小説読む資格ないよって。


 ――もっとわかりやすく書きゃいいのに。もったいぶりやがって。


 ルサンチマンはもちろんありますし、その上、わたしは心のどこかに「率直こそ美徳だ」と刷り込まれているのかもしれません。メタファーを駆使した、深みのある比喩表現がなかなかできないのです。


 結果、なんでもかんでも「◯◯のような⬜︎⬜︎」っていうふうに書いてしまい、「ああ、またやってしまった」と自己嫌悪し、思いつかないメタファーに呪いの言葉を吐いたりするのでした。


 はい、混沌のメタファー編おわり。



 あと、自作に対する不満として大きいのが、浅いんです小説が。人物にも物語にも深みが足りなくて、すぐ底が割れるんです。


 わたしはさくっと小説読むのが好きなんですよ。マンガもアニメもそうです。さっと上辺を撫ぜるようにわたしの鑑賞法なんです。


 だからかもしれないんですが、わたしの小説はさらっとした手触りのものが多いと思うんです。もっと描けるのに、あえて筆を抑えているような――印象があるかもしれません。


 書き始めた当初、「薄っぺらすぎる」と自分でも思って、情景描写に力を入れるようにしました。でも、まだ足りない。足りないものは内面描写で、登場人物の心の機微や複数人のあいだで織りなされる感情の綾といったものが圧倒的に不足しているんです!


 ――書こうにも、分からへんねん!


 わたしはリアルの対人関係においてを貫いており、人の気持ちを忖度するのが苦手……というか嫌悪してる部分があります。だから、小説を書くにあたっても殊更、登場人物の感情を描くことを避けてきたのかもしれません。人の感情と向き合うのが怖いんですね、きっと。


 でも、これではいつまでたっても進歩はないぞと、一人称で書き始めたのが数年前からでしょうか。

 最初は、ぜんぜんだめで「こんな一人称なら、三人称で書いても同じ」とコメントされる始末。それが理由ですね、文学を読もうと思ったのは。


 ずっと目隠しをしながら、小説世界の心理描写ってものを探そうとしてきたようなものでしたが、最近やっと手がかりのようなものを探り当てたような気もします。これがホンモノなのか、わたしのカン違いなのかは、おいおいわたしの小説を読んで判断してみてください。


 いま書いている小説『新しい世界』を読むと、ところどころで登場人物の心理描写に四苦八苦している藤光を発見することができるでしょう(笑)


https://kakuyomu.jp/works/1177354054896104657/episodes/1177354054934894668


 でも、もっと上手な描写はあるはずだし、書けるはずなので、更に、さらに勉強して「すげーな! ここの表現‼️」と読んだ人にうなってもらえるような(この部分『直喩』です 笑)心理描写ができるようにがんばります。ではまた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る