第1期短編集「ドクトル・アンゲリクス」(2013~2016)
カクヨム登録以前の作品から14作(多すぎですね)を選び、短編集のイメージで並べてみました。
創作をはじめたばかりなので作風が定まらず、かなりバラけた内容になっています。
「ドクトル・アンゲリクス」とは筆名の由来であるカトリックの聖人トマス・アクィナスの二つ名です。和訳すると「天使的博士」ですね。
元々、わたしはTwitterなどでは別の名前を名乗っていたんですが、創作活動のスタートとともに戸松秋茄子という名前に一本化した経緯があります。スタート地点という意味も込めて、筆名の由来に由来したタイトルを冠しています。
「わたしがこれから出会う鳥」
https://kakuyomu.jp/works/1177354054885561659
われながら、巻頭を飾るにふさわしいタイトルではないでしょうか。「これから」に希望を見出す物語からスタートです。ちなみに、某長編の前日譚という位置付けなのでやっぱりプロローグにはうってつけなわけです。
「九十九墓村事件」
https://kakuyomu.jp/works/1177354054886654159
ミステリ読みなのでまずはそれっぽいものを。ちなみに、名探偵を登場させたのはこれが最初で最後です。どうして出さないかはこれを読めばだいたいわかると思います。以降の収録作があんまりミステリっぽくない理由の説明でもありますね。
「御伽噺」
https://kakuyomu.jp/works/1177354054885871480
一転してファンタジックな掌編。戸松的世界認識をわかりやすく説明しています。ミステリをあんまり書かない理由がわかるかと。
「嵐」
https://kakuyomu.jp/works/1177354054885897766
「御伽噺」的世界認識によって書かれた話です。理由なく襲いかかる嵐のような災厄に身を巻き込まれた夫婦の話です。
「ランドセル同盟」
https://kakuyomu.jp/works/1177354054883353047
同じく夫婦を扱いつつ、現代社会で母たることのストレスを端的に切り取ってコミカルに描いています。これは次の収録作への伏線でもあります。
「ハクチョウ」
https://kakuyomu.jp/works/1177354054885578025
すでに取り返しがつかないくらい壊れてしまった夫婦関係の話です。ある意味で「ランドセル同盟」のあり得る未来とも言えるかもしれません。実際、同じ本から着想を得ています。笑いにくるんで提供した題材を、今度は真剣に描いています。
「膝枕変奏曲」
https://kakuyomu.jp/works/1177354054883353172
「お母さんはどこから来たの」という問いかけに象徴的なように、母なる者も最初から母だったわけではなく誰かの娘だったという当たり前の事実を遡行していく構成で表現しています。
「鼠を殺す」
https://kakuyomu.jp/works/1177354054888103684
というわけで今度は子供たちの話です。第2期の作風の萌芽とも言うべき内容にもなってます。
「きみと帰る道」
https://kakuyomu.jp/works/1177354054881159578
ここに来て処女短編です。継続して少女が語り手なんですが、それでいてもう一度「夫婦」に回帰していく流れを作っています。つまり、恋愛を主題としているのです。ただ、ここで描かれるのは恋のままならなさです。
「焔暁生の炎の半生」
https://kakuyomu.jp/works/1177354054885934746
これも微妙に恋愛要素があるのですが、今度は少年視点から描いています。やはり恋はままならないという話でもありますね。
「心の重さ」
https://kakuyomu.jp/works/1177354054881159658
自作の中でも評価が高めの書簡体ミステリ。初期の代表作と言っていいでしょう。これも少年視点から恋に似た何かを描いていて――やはり祈りのようなラストに続きます。
「ひとりごっこ」
https://kakuyomu.jp/works/1177354054891332698
収録作では一番長い、疑似私小説です。前2作で描かれたような暗い青春時代を抜けたその先にあるものを描いています。
「わたしたちが魔法少女だったころ」
https://kakuyomu.jp/works/1177354054887823091
初期作の中では比較的エンタメらしいことをやっているのではないかという作品。やはり青春の終わり、モラトリアムの終わりが主題です。最後の結論が次作へとつながっていきます。
「幽霊と短編小説」
https://kakuyomu.jp/works/1177354054887940808
「わたしがこれから出会う鳥」と同じく、某長編の前日譚という位置付けです。長編がどうしてもかけなかった自分に発破をかけるため書いた話でもあります。短編集の終盤なればこそ最後の一文が響くかなと。ここで語られるのは、第2期に向けた展望とも言えるかもしれません。
「your book ver 0.0」
https://kakuyomu.jp/works/1177354054885161958
ボーナストラックのイメージです。「親愛なる読者様へ」という一文からはじまる、すべての読者に向けたラブレターとも言うべき内容――と言ってもここでは男性読者を想定しているのですが。
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