第7話 初めてのICD作動

2013年4月3日(水)


この頃の僕は自分が病気であるという自覚がなく生活をしていた。仕事は忙しく休みも少なくなっていた。そのストレスもあり食事をきっちり摂らなくなっていた。もともと朝食は食べていなかった。昼食は仕事場が近いため自宅に食べに帰っていた。この頃は昼食より休憩時間はできるだけ横になりたかった。昼食を食べない方が午後から調子がいいという錯覚に陥っていた。

この日も朝から何も食べていなかった。週に1回仕事帰りに、地元のたこ焼屋に寄り道をして食べて帰るのが楽しみだった。そこに行けば同級生や先輩に会うことが多かった。

この日は翌月に結婚式を控えていた同級生と話をしていた。すると急に強烈な眠気のようなものを感じた。気付いたときは横の先輩に抱き込まれていて、「救急車!」と普段物静かな先輩の慌てた声が聞こえた。自分では少し長い瞬きをした感覚で目を開けると、周りの人が慌てている様子を見て、意識を失ったんだと恐怖に襲われた。ICD作動の衝撃を感じない程、意識を消失したようだった。僕は座っていたカウンターに額をぶつけたらしく、少し血が出ているのを店主が絆創膏を張ってくれた。

とりあえず同級生に、僕の自転車を車に乗せて家まで送ってもらうことにした。家に帰りシャワーを浴びたいが一人になるのが怖くて、浴室のドアを開けたまま嫁に着いていてもらった。そして少し落ち着いた後、寝室の布団の上に座って、下の子のパジャマのボタンをとめている時、気がつけばまた倒れ込んでいた。子供達は呆然と立ち尽くし、嫁も気付いたらしく駆け寄っていた。もうどうしていいか分からず、とりあえず寝て明日の朝早くに病院へ行くことにし、病院と職場の社長に連絡を入れておいた。

とにかく早く寝ようと布団に入っていると、なんだか頭がボーッとする感覚になって、背中を大きな板でおもいっきり叩かれたような衝撃を感じた。驚きと気が狂いそうな恐怖感で、横に寝ていた嫁に抱きついた。この日の3回目のICD作動で、初めてこの強烈な衝撃を体感した。3才だった下の子がその様子を見て泣き出した。僕はもう気が動転し、嫁は救急車を呼んでいた。

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