第4話 入院生活

手術後、一般病棟の大部屋に移された。胸に痛みと違和感があるものの、これまでと何も変わらなかった。日が経つに連れて病院内の動ける範囲も許された。体が鈍るといけないので、階段で1階の売店に毎日何度も通い、食事制限もなかったので好きなものを買って食べた。

そして地元から遠い病院にもかかわらず、友達や親戚やバンドのメンバーがお見舞いに来てくれた。入院生活を初めて経験して、お見舞いが何よりも一番嬉しいことだと知った。

特にバンドのリーダーは倒れた夜の翌日にも集中治療室にも来てくれた。もしあの夜この人が電話で誘ってくれてなかったら、こんな都会のいい環境の病院で、病気を発見し治療を受ける事ができてなかったと思う。命の恩人だと思っている。

2007年10月13日の夜に病院に運ばれて、その月の29日に退院した。心配だった費用は高額医療費制度というのがあり、嫁が調べて手続きしてくれていたので負担額がほとんどなくて助かった。

退院の日は嫁と母が迎えに来てくれて電車で帰宅した。そのとき初めて自分がどの辺りに居たのかわかった。何よりこの道のりを毎日1時間以上かけて通ってくれた嫁への感謝は今でも忘れたことはない。

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