シモーヌ編 心理的な影響
新暦〇〇三六年七月六日
そんなこんなで
仮にも人間の感情を再現することを試みられた
「見た目は変わっても
シオがそう感心する。
確かに。実は人間の場合、見た目が変わるだけでも結構、心理的な影響を受けて振る舞いまで変わってしまったりすることがある。整形手術で外見が変わった途端に自信満々な振る舞いをする者がいたり、それどころか服装だけで変わってしまう者さえいる。アラニーズの姿になったビアンカやクロコディアになったメイガスにも実は影響が出ていて、ビアンカは戦闘時における精神安定がさらに向上し、メイガスも地球人だった時のような衛生面への拘りもなくなった上に殺傷に対して躊躇いがなくなったそうだ。もちろん、あくまで狩りや外敵との戦いにおいての話だけどな。
対してロボットにとって<外見>は、タスクをこなすにあたってどのような影響があるかについては考えたりするものの、だからと言って心理的な影響を受けたりしない。
<心>がないんだから当然と言えば当然か。
加えて、先にも触れたように、様々なロボットや機器にリンクして全く別の姿で稼働したりすることも想定されているから、それでいちいち様子が変わっていたんじゃその辺りのリスク管理も大変なわけで。
だから、どれほど<感情>が再現され<心>があるように見えたところで、彼女達には心はないし、そもそも性別もない。女性のようにも思える外見をしているだけだ。
そしてそれを承知の上で、俺はエレクシアを愛してる。ロボットであり<人間に使われる道具>であることを理解していても、その道具に対して強い思い入れを抱くのも、人間としては別におかしくないだろう?
その点、コーネリアス号の乗員達の方がロボットに対しては割り切っていると思う。道具と割り切った上で労い大切に使おうとしているだけだ。
俺としても本当はそういう部分を見倣わないといけないんだろうなとは思いつつも、まあ今のままでもそんなに問題にはならないかとも正直なところ思ってる。何しろ俺だけだし、別にそんなに露骨に表に出してるわけでもないし。
『たぶん俺は、エレクシアがもし
そんなことも思ったりもする。
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