玲編 明
新暦〇〇三五年十一月九日
こうしてかろうじて
老いたりといえど身に沁みついた技量は彼女を守ってくれるか。
でも、
「大丈夫。助かるから」
エレクシアがそう告げてくれると、少し安心したらしい。
そして翌日にはまた、
だが……
「亡くなる直前、嘘のように元気になることがあるって話も聞いたことがあるのはあったが、それなのかよ……」
そうだ。ここのところやけに調子が良さそうだったのは、ロウソクが燃え尽きる直前にカアッと明るくなるそれのように、
「エレクシア……頼む……」
こうなると俺がほいほい墓参りできなくなるものの、
「
さすがに
自分の妹であり姉でもある彼女の死を、悼んでくれた。もちろんシモーヌも、
「
何とも言えない寂しさと言うか虚しさと言うかを感じつつ、同時に俺は、自分の本音を口にした。親として我が子を先に逝かせるのは、情けない想いもある。あるが、間違いなく俺が勝手にこの世に送り出した彼女の生涯を見届けられたことについては、安心感も確かにあるんだ。彼女が自身の命を生き切ったことを確かめられたんだからな。
享年三十二歳十ヶ月と二十五日。地球人からすれば短いが、八歳になる直前に
おやすみ……
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