玲編 新とレトとパパニアンの子供
そして最近、アカトキツユ村の近くに、一人のパパニアンが近付くようになっていた。子供だ。レトと変わらない年齢くらいの。それが一人で、
普通に考えれば縄張りを侵す行為だが、
もちろん、自分達が食べる分まで奪われるとなれば抵抗もするんだろうが、そもそも他のパパニアンはあんずとますらおやドーベルマンMPMを恐れて基本的には近付かない。敢えてその恐怖を抑え付けてでも近付かないといけない事情がある者や、逆に危険を省みない無謀な者が来るだけで。
しかしその子供のパパニアンは、明らかに後者ではなかった。おどおどした感じの雌だったんだ。その様子に、すぐにピンとくる。群れでイジメられてそれで逃げ出してきた個体だろう。その子は、アカトキツユ村に入っては来ないものの、他の動物達が恐れて近付かない辺りに、一人で居ついてるようだった。
この辺りは、さすがに一人でも野性で生きていけるだけの能力が備わってるだけはある。地球人の子供だと、この密林じゃあ数時間と生きていられないだろうしな。
そして
彼も、その子がレトと同じだと見抜いているようだ。
それを俺達も見守ることにした。その子が
しかもレトも、その子のことが気になっているようにも見える。やはり自分と同じだということを感覚的に悟ったのかもしれない。
自分と
<お互いに相手が気になっているのに、共にシャイで声を掛けられない男の子と女の子>
って感じにも思えて、微笑ましいじゃないか。
なんてことも思ってしまうよ。
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