玲編 新たなマンティアン
新暦〇〇三五年九月十二日
<ヘンゼルとグレーテル>
<赤ずきんちゃん>
それ以外のものも、多くが本当に陰惨で救いがなくて、『教訓めいた』という以上に、その原典になった話が生まれた当時の世情や実際に起こったのであろう事件が思い起こされて、悲しくなるよ。
正直、地球人のどうしようもない部分が塗りこめられているようにさえ感じる。
なのに、
まあ、マンティアンの生態を思えばこのくらいはまだまだ優しいのかもしれないけどな。
それが半月ほど続いたこの日、密林の中に監視カメラとして配置していたマイクロドローンが、<望まれざる客>の姿を捕らえた。
「マンティアンか……」
そうだ。若いマンティアンが、本当に久々に
しかし
なので、ドーベルマンDK-a
なのに、その若いマンティアンは、ドーベルマンDK-a二機を見ても、怯む様子さえなかった。
「こいつ……ドーベルマンDK-aを見慣れてる……?」
ずっと哨戒で密林の中をうろうろしてたからな。いずれはそういう個体も出てくるだろうとは思ってたし、実際、他の動物ではドーベルマンDK-aを恐れないのも出始めてはいた。だが、マンティアンでは、
……いや、他にもいたか。
「
ふとその名が思い出されて、口を吐いて出てくる。けれど、それに対してエレクシアが、
「
と言い放った。
「なんだと……!?」
「そんな……!」
俺とシモーヌは思わず声を上げてしまった。いや、
まったく。あの
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