玲編 どっちを選択しても
正直、どうするべきか考える。マンティアンとしてまっとうな最期を迎えてもらうなら、むしろ戦って負けてとした方が……
って、自分の娘にそんな最後を迎えてほしいと思うわけがないだろう……?
「たとえ認知症になっても、そんな最後を迎えるよりはマシか……」
「
呟く俺を、シモーヌが支えてくれる。
そうだ、自分の娘が猛獣に襲われて殺されて食われるとか、そんなもの、普通に許容できるわけないじゃないか……!
だが同時に、認知症を患い壊れていく
愛する者が、トイレの使い方も分からなくなり、糞や小便を垂れ流すんだぞ? しかもそれが、いつ終わるとも分からずに続くんだ。確かに家族にとっても地獄だろう。
それを思えば、いっそ……
とは、思ってしまう。しまうが、
「やっぱり、俺には、自分の娘が殺されて食われるのを認めることはできないよ……」
シモーヌにそう告げる。
「それは私もよ、
彼女も応えてくれた。
ただし、今の時点ではそう言ってても、実際に自分の子供が自分より先に認知症を患い壊れていくのを目の当たりにしたら、
『やっぱりあの時、早々に死なせてやればよかった……!』
と後悔するのも人間というものだ。そんなことは分かってる。結局、どっちを選択したって後悔することはあるんだ。
『やって後悔するか? やらずに後悔するか?』
そんな単純な話じゃない。人生ってのはな。どっちを選択しても後悔するなら、自分がそれを選択した事実を受け止めるしかないだろう?
だから俺は、ドーベルマンDK-a
「そのマンティアンを追い返せ。なるべく怪我をさせないようにするのが望ましいが、万が一死なせても構わない」
命令を受諾した信号を返し、
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