玲編 曾孫

新暦〇〇三五年八月二日




地球人の感覚からしたら破廉恥極まりないれいの姿も、ここ朋群ほうむにおいては凛々しく力強く命に溢れてると思う。


そして何より、美しい。地球人が余計なものをまとうことで失っていったものを、彼女は持っている気がする。


そもそも、命そのもののこの形を、『破廉恥』だの『猥褻』だの言うようになったのはなぜなのか、今の俺には分からない。


もっとも、地球人の社会で暮らしていた頃には、分かっていた気もするけどな。


ここに不時着してから三十五年余り。おそらく俺に残されていた老化抑制処置の効果の半分が過ぎ、さすがに少し年齢を感じ始めてもいる。


老化抑制処置が実用化される以前、二十一世紀頃の人間で言うなら、まあ、四十代くらいに突入した感じだろうと、エレクシアは言っていた。ここにおいては不自然なまでの長寿命。その結果、俺は、じんを、ようを、ふくを、ひそかを見送ってきた。そしてさらに今度は、俺の子供達を見送ることになっていくだろう。そうだな。この先、十年くらいの間には、ひかりあかり以外の子供達を、な。


実際、ほまれめいそうかい達の<老化>は、目に見えて進んできている。今日明日中にどうにかなるような感じではないものの、それが始まりだすとバタバタと、という感じになるかもしれない。


その一方で、俺にとっては<曾孫>にあたる<第四世代>もすくすくと育ってきている。


筆頭は、ようの娘であるしょうの息子のりょうの息子のマッハだな。あと三ヶ月余りで四歳になる。しかもりょうは、他所でも子供を作っているが、そちらについては把握していない。あくまでりょうが最初にパートナーに選んだ鈴良れいらとの間にできたマッハの見守りに注力してるからだ。


ふくの娘であるしんの息子のこうの子供達も把握はできていない。曾孫達については、孫達を見守っている範囲で確認された子以外は、敢えて追跡もしていない。きりがないからな。


それでも、現時点で把握できてる曾孫を紹介していこうか。


すでに触れたマッハはいいとして、


保景ほかげ>。ひそかの息子であるほまれの息子のたもつの娘。


保富ほとみ>。同、たもつの息子。


翡翠ひすい>。ひそかの息子であるほまれの娘のみどりの娘。


加翠かすい>。同、みどりの息子。


健翠けんすい>。同、みどりの息子。


旭久あきひさ>。ひそかの息子であるほまれの息子のあきらの息子。


旭音あきね>。同、あきらの娘。


里錦りきん>。ふくの息子であるそうの息子のとうの息子。


阿嵐あらん>。ふくの息子であるそうの娘のさんの息子。


円清えんしん>。ふくの息子であるかいの息子のえんの娘。


妍里けんり>。ふくの息子であるかいの娘のけんの息子。


以上が、現時点で確認できている曾孫だ。


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