玲編 挨拶
新暦〇〇三五年八月三日
今もたまたま、集落と密林の境界に生えていた木にトカゲに似た小動物がたかっていて、それを瞬間的に捕らえ、頭からバリバリと貪っていった。そして血塗れになると
なるほど、この生活スタイルなら服を着てるのはかえって邪魔だろう。
こうして、見た目だけは地球人そのままだが、その振る舞いはマンティアンそのものという生き方を、
しかし、
「
ビアンカが<里帰り>してきた日にあらかじめそう告げておくと、彼女は
「
声を掛けたものの、
そんなこんなで、愛想の欠片もない
一方的にこちらに合わさせようというのは傲慢というものだ。彼女は好き勝手にはしてるのは事実でも、こちらに対しても別に自分と同じように振る舞うことを強要してくるわけでもない。だからそれでいいんだよ。
こちらに合わせてくれない程度のことは。
そんな覚悟もなく同じ集落内で暮らしてるわけじゃない。
<社会>とは、本来、そういうもののはずだ。様々な感性や価値観を持つ者達の集まりであり、決して統一されたものじゃない。
『郷に入っては郷に従え』
という言葉もあるとはいえ、俺もなるべくそれを心掛けてもいるとはいえ、だからといって何もかもここに合わせているわけじゃないからな。完全に『郷に入っては郷に従え』を実行するなら、俺は一切の道具を捨ててエレクシアも捨てて裸で野生として生きなきゃならなかった。だが俺は、現にそれをしていない。
その地のルールや慣習になるべく合わせることは大事でも、<譲れない部分>というものもあるのは事実なんだ。
そういう個々人の<譲れないもの>を持ちつつ他者と折り合って生きていくように作られるのが<社会>というものなんだよ。
決して一部の者にだけ都合のいい仕組みを言うんじゃないんだ。
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