第四世代

玲編 羞恥心

新暦〇〇三五年八月一日




快活なように見えて実は奥手な面もあったあかりもいよいよ観念して、俺の子供達に関しては一通り片が付いただろう。あらたほむらさいについては、これはこれでケリは付いてると思う。


で、俺の群れでは残るはまあれいかな。どうなるかつい最近まで分からなかったのは。


めいの息子で、<マンティアンとしての生き方>が性に合わなかったのか俺の群れに加わってその上で気ままに暮らしているえいのことが気になっていたらしいれいだが、あと四ヶ月足らずで満七歳になるということで、十代後半くらいの地球人の女の子って感じの見た目になってた。


ただ、元々ここで生まれた子供達は服を着たがらない傾向が強いんだがそれでも成長するにしたがって服を着るようになっていってくれたにも拘わらず、れいだけは、いまだに服を着ようとしてくれない。常に真っ裸でうろついている。


まあ、普段は気配を消してることも多いからそういう意味でも気にならないっちゃならないものの、だからこそ不意に姿を現すとギョッとなることもある。


とは言え、ひかりまどかひなたじゅんもその辺はまったく気にしてないし、俺もシモーヌもエレクシアもセシリアも正直言って諦めていた。


なにしろ、れい自身が服を着る必要性をまったく感じていないらしいんだ。狩りについてはこの集落に入り込んでくる小動物や鳥だけで済んでるらしくて、あんまり密林には入っていかないことで枝が当たったりして小さな怪我をする形で肌を守る必要性を実感することがないというのもあるみたいなんだよ。


その点、ひかりあかりまどかひなたじゅんも、


『服を着ることで生傷を減らすことができる』


というメリットを実感する形で服を着るようになってくれたんだがなあ。


半面、<羞恥心>というものはほとんど発現しないようだ。そりゃそうか。獣人達は毛皮に覆われたりしてるものの基本的には全裸で、それが当たり前なんだもんな。


むしろ服を着てる俺達の方が<変>なんだ。


が、地球人の感覚からすれば今のれいは、


<猥褻物陳列罪>


には当たるんだよなあ。ここにその法律はないから適用はされないが。


で、れい自身は俺のそんな心配事などどこ吹く風で、今日も素っ裸のままえいの部屋に入っていった。


そう。以前はただ少し離れたところから見てただけだったのが、えいの部屋で一緒に過ごすようになったんだ。さらにそれだけじゃなく、


<パートナー>


になったみたいなんだよ。いずれそうなる可能性もあるとは思ってたものの、いやはや、えいの方が受け入れるとは、正直、意外だった。何しろれいは見た目だけなら完全に地球人で、まったくマンティアンには見えないし。


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