灯編 本当に嬉しいこと
そう言えば、
『なんか悔しい。自信なくすわ~…!』
と言っていたのが、
そしてかつて
『気にしなくていい。
心配しなくても、俺にもできたことだ。
だいたい父親なんて自分が生んだわけでもないのに<親>になるんだぞ? それを思えば接し方次第で赤の他人でも<親>にもなれる。
相手をちゃんと人間として敬うことができれば、後は『何とかなるなる』って感じで軽い気持ちでいればいい。それがコツだよ』
そんなことを言っていたのを、傍にいたセシリアが記録してくれていた。
いやはや、我ながら偉そうなことを言っているなと気恥ずかしくなる。
ただ、
俺は親として、自分の子供達に伝えようとしたことが実際にちゃんと伝わってるかどうかを確認する義務があると思ってる。なにしろ、口先だけで偉そうに言っただけで『教えてやった』つもりになって、実際にはまったく伝わってなかったのにやるべきことをやったと安心してしまう親が実際にいるそうだからな。
それじゃダメだろ? 仕事でも、引継ぎを適当に済ませてきちんと引き継げてなかったら責任を問われることだってあるだろ? 実際に責任を取らせられるところまではいかなくても、確実に顰蹙は買うだろう。それなのに<親>の場合はいい加減に済ませてもお咎めなしってのは、おかしくないか?
俺はそう思うし自分に言い聞かせてきた。
それがこうして実を結んでるというのは、本当に嬉しいことだよ。
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