新編 穏やかな声
で、レトの対処をする<適任者>と言えば、まあ、第一候補は当然、<
だから、すでに<透明な滑走路>の工事が始まっていて、二十メートルほどが完成していたから、決して余裕はないものの理論上は着陸可能だったことで、レトを乗せたワイバーン二型が、非常に緻密な制御によって失速寸前の低速で近付き見事にそこに着陸。万が一オーバーランした時に受け止めてもらうために待機していたますらおに頼る必要もなかった。
ちなみに、当のレトについては、鎮静剤を投与して眠ってもらっていた。下手に暴れられたりすると危なかったからな。
なお、<レト>という名前は、ドーベルマンMPMを制御しているコーネリアス号のAIが、便宜上、仮名として割り振ったものだったものを、そのまま正式に名前とした。
ワイバーンから下ろされ、ますらおによって連れてこられたレトを見ると、
鎮静剤が効いて眠っているレトを、
あと、レトは<雄>である。なのでたぶん、今度は
しかし、
まあその辺も、
俺の場合は、なんかそんなことを考える暇もなく次から次へとだったし、事情も違うか。
いずれにせよ、
そうして、夕方、鎮静剤の効果が切れて目を覚ましたレトが、
「ひゃっ!?」
見知らぬパパニアンに抱かれていたことで驚いて逃げ出したが、逃げようとした先もまったく見知らぬ場所だったことで呆然となり、そこに、
「うあう……」
と声を掛けると、レトは、彼にしがみついてしまったんだ。
たぶん、レトが生まれてこの方、決して掛けてもらえなかったような穏やかな声だったからだろう。それで、直感的に、助けを求めてしまったのかもしれない。
もちろん、このまますんなり
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