新編 改良を加えたドーベルマンMPMの能力

しんも、仮にもレオンなので、簡単にはやられたりしないだろう。しかし彼女もすでに三十過ぎ。レオンとしての肉体のピークを過ぎてるはずだから、若くこれからが全盛期へと向かっているマンティアンのせいが相手では分が悪いのは事実だと思う。


俺の傍でのんびりと暮らしている彼女を<餌>としてくれてやるわけにはいかないから、悪いが守らせてもらうぞ。


しかも、せいにとっては母親であるめいの姉、伯母にあたるしな。完全な野生では関係ないとしても、しんの父親として俺の目の届く範囲では、すまん。


そんなわけで、ドーベルマンMPMがマンティアン相手にどこまで通用するか実地で確認するために、四十号機を突撃させる。


せいとしては気配を隠しているつもりだろうが、バレバレだしな。


「!?」


獲物を探していたら突然自分の前に現れたそれに、せいが反応する。躊躇なく襲い掛かったんだ。まあ、勢いよく飛び出させたからそういう意味でもつい反応してしまうのは、マンティアンとしては当然の習性ではある。


かんの子とやりあった時に比べれば動きがさらに鋭くなっているのが、俺にさえ分かる。両手のカマを伸ばし、まずは捕らえようとしたようだ。が、俺の目で捉えられたのはそこまでだった。


なのでここからはいつものごとく後から映像で確認したもので触れていく。




自身に向けて伸ばされたせいのカマを、四十号機は右に体を振って躱した。するとせいは瞬間的にカマを引き戻し、今度は左のカマを横に薙ぐようにして放つ。四十号機はそれを体を逸らしながら回転させて躱し、しかし距離を取るのではなく逆に四本の脚を巧みに使ってせいの懐に飛び込んでみせた。実に素晴らしい動きだ。


牙斬がざん相手ではまるでいいところなく、素戔嗚すさのおについては余裕の対処もできたもののさすがに相手が子供だったことでそれを自慢するのも憚られたが、今回は、少々若いといえど血気盛んな現役バリバリのマンティアンだ。これと互角以上に渡り合えれば少なくとも密林の中では最強格なわけで。


アリゼとドラゼは、二体がかりでも超マンティアン<龍然りゅうぜん>を攻め切れなかった。負けることはなくても、勝ち切れなかったんだ。これについては龍然りゅうぜんが規格外すぎたからなのであまり参考にならないものの、龍然りゅうぜん相手に善戦したのなら、まあ十分だ。


アリスとドライツェンは確実に普通のマンティアンよりは強い。正直、ドーベルマンDK-aでは微妙だったが、改良を加えたドーベルマンMPMの能力やいかに。


同時に、せいの今の強さも改めて確認できるな。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る