新編 性能の検証

せいがこちらに接近しつつある中でも、あらたは相変わらずだった。まあ、じゅんまどかひなたうららを連れて出掛けたり、あらたが餌をとりに行く場所は、せいの縄張りと離れてるからまあ大丈夫だろう。


ただ、しんえいが狩りに行く方向は、ガッツリとせいの縄張りにバッティングしてる。特にえいについては、同じマンティアンということもあり、縄張りの奪い合いになるだろう。


兄弟であってもな。


えいはそれを望まないとしても、せいは容赦しないだろうし。


れいは、マンティアンとしての性質も持ちながらも、集落内に現れる昆虫や鳥を捕らえて食べたりもしつつも、基本の食事は、まどか達と一緒に食べる。テーブルの陰に隠れるようにしてだが。


だから密林の中にまでは入っていこうとはしない。そのせいもあって今も服を着ようとしてくれないんだ。見た目にはローティーンくらいなんだけどな。さすがにちょっと絵的にはヤバい感じになりつつも、無理強いもしたくないし、そもそも誰も気にしてない。俺も別に気にしないし、じゅんひなたもなんとも思ってない。


この辺りも、少なくとも今のところは地球人とは違うな。まあ、俺が気にしてないから、


『裸を気にする』


という感覚が育たないというのもあるのか。別に現状では<公序良俗>という概念もないことだし、成り行きに任せることにしよう。


服を着たければ着ればいいし、着たくなければ着なくていい。


じゅんまどかひなたは、


『密林の中で活動しても痛くない』


から、服を着るようになってくれたけどな。ひかりあかりは、俺やシモーヌの真似をして服を着るようになった感じか。


この辺りもそれぞれで構わない。


管理する側にとっては価値観を揃えてくれた方が楽なのも事実ではあるにせよ、


『俺が楽をしたいからお前ら全員こっちに従え』


ってのは、さすがに怠慢だよな。


個別の事情をフォローしてくれるロボットもいるのに、怠惰なのはいただけない。


とまあ、俺がそんなことを考えている間にも、しんせいと接近してた。なので、ドーベルマンMPM四十号機をしんの傍に配置する。


ドーベルマンDK-aからデータを引き継いでるので、密林内での動作も完璧だ。そして、データが蓄積されるごとにマイナーチェンジも繰り返し、今では、超マンティアンの龍然りゅうぜんが相手ではさすがに心許ないものの一般的なマンティアンが相手なら苦もなく退けられる程度には性能も上がってる……はずだ。


だからせい、ドーベルマンMPMの性能の検証に付き合ってもらうぞ。


もっとも、せいを追い払うだけならイレーネを派遣する方が手っ取り早いけどな。


彼女の強さは思い知ってるし。


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