ビアンカ編 灯の意向

さらに風呂については、


「しかも最近は、未来みらいも真似して洗おうとしてくれるんだよ。今はまだホントにただの真似だけどさ。タオル持ってビアンカの体に乗って行ったり来たりするだけ」


「でも、それがけっこう、気持ちいいんですよね」


「そうなんだ?」


そうやって中の様子を平然と話してくれるってことは、それだけ信頼されてるってことだろう。信頼もしてない男にそんな話はしないだろうし。


それ自体が俺も嬉しい。


彼女らの信頼に応えなきゃとすごく思う。


俺達は、みんなで幸せになろうとしてるんだ。それを、わざわざ自分の身勝手でぶち壊す意味が分からない。俺自身、今のこの関係が心地好いんだから、ただそれを守りたい。


風呂上がりのさっぱりした彼女達の様子に、俺も気持ちが安らぐ。ビアンカも、ルコアも、あかりも、とても穏やかな表情をしている。未来みらいも、すごく機嫌がいい。


またルコアの体に登って、


「ん~っふ!」


なんだかドヤ顔になってるが。


だけどそれをルコアも嫌がっていない。とても微笑ましい光景なんだ。


いいな。本当にいい。


もしかするとこの光景に、素戔嗚すさのおも加わることになるんだろうか?


ああでも、そんなのは俺の勝手な願望だな。素戔嗚すさのおには素戔嗚すさのおの生き方がある。ビアンカ達に合わせてもらわなきゃいけない義理もない。ビアンカももちろんそれは承知している。




ちなみに、久利生くりうは、基本、一人で風呂に入る。いかに<ハーレムのあるじ>といえど、ビアンカとあかりは彼と一緒でも平気でも、ルコアは、な。


『ハーレムのあるじである久利生くりうに合わせるべきだ!』


という意見もあるかもしれないが、これまでにも何度も言ってきたように、<ハーレム>ってのは必ずしも雄にとって都合のいいものってわけじゃないんだ。あくまで雌の側が『優れた雄を共有する』って形であって、雌に嫌われるとすぐに瓦解するようなものなんだよ。となれば、当然、雌の側の都合に合わせることになる場合も多い。


その覚悟があればこそ、ハーレムってのは穏当に維持できるんだろうな。


しかも久利生くりうはそういうことを余裕で受け止められる器の持ち主だ。


それに、夜にはビアンカとたっぷり愛し合ってもいるしな。


これは、あかりの意向でもある。


『私がビアンカも久利生くりうも幸せにするよ!!


だからビアンカ! 久利生くりうと一緒に私のものになってくれ!!』


ビアンカと久利生くりう、二人に対して同時にプロポーズしたあかりのな。


ビアンカが幸せじゃなきゃ久利生くりうも幸せになれない。ビアンカと久利生くりうが幸せじゃなきゃあかりも幸せになれない。だからあかりは、まず、ビアンカと久利生くりうが幸せになってくれることを望んだ。


ビアンカも、あかりがそうだということを知っているから、久利生くりうと共に幸せになろうとしてくれてるんだ。


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