ビアンカ編 なんじゃそりゃぁ~~~~~っっ!!?
と言うか、テロリストの少年の件についても、その後の捜査で背景が見えてきたものの、両親がそもそもテロリストであり、そんな両親の下で育ったことである種の<洗脳状態>にあっただけで、少年自身に明確な<憎む理由>があったわけじゃないようだ。
だからビアンカに向けられていた<憤り>は、元々、少年自身のものではなかった可能性がある。
本人が亡くなっているからそれを確かめる手段もないものの、いずれにせよ、ビアンカが気に病む必要はまったくないんだ。
さりとて、そう言われて割り切れるほど人間の心理というのも単純じゃないわけで、いかにアラニーズとして生まれてメンタルに変化が出ているであろうと言っても人間(地球人)であった<オリジナルのビアンカ・ラッセ>の影響を多大に受けている彼女が割り切れないのも当然だろう。ゆえに、急ぐことなく強いることなく、彼女自身が自分の中で折り合いを付けられるようになるのを待つだけだ。
新暦〇〇三四年二月三十日
が、事態はまったく思わぬ展開を見せた。
「<月経>が、始まりました……」
朝、朝食の場で彼女がいきなりそんなことを告げてきた。
「え…?」
「は…?」
「なに…?」
「へ…?」
「え、え……?」
まさかの申告に、
「月経…って、アラニーズとしてはあなたはもう……」
シモーヌが<専門家>としてそう口にする。実はビアンカは、アラニーズとしてはとっくに<繁殖可能な状態>になっていたんだ。しかし、
「だから、そっちじゃなくて、人間としての……」
そこまで言われて、ようやく全員が察する。
「ええ~~~っ!?」
いや、確かにね、アラニーズの頭部である<人間そっくりの部分>には、<人間の器官>もほぼ揃ってるのは分かってたよ? でもそのほとんどはただの<痕跡>か、機能してても補助的なものでしかなくて、子宮や卵巣や精巣も、再現はされてても機能はしてなかったんだ。それが……
ええ……?
とか何とか、戸惑ってるだけじゃ埒が明かない。なので、コーネリアス号に残されていた諸々の検査機器を使って確認したところ、
「本当に、卵巣が機能してる……月経だ……」
データを見たシモーヌが呟いたのだった。
なんじゃそりゃぁ~~~~~っっ!!?
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