ビアンカ編 攻撃的な気性
そう。野生の場合、<弱肉強食>だと言われるものの、しかし<強さ>なんてものは所詮、相対的なものでしかない。
が、強いからこそ、いささか強引なことをして無謀なことをして、危険を招くこともある。それによって命を落とす可能性も高いだろう。
『強ければ何もかも手にできる』
なんて単純な話じゃないんだ。
人間の場合は、この辺、本人に理解してもらえるようにしていくことも可能だが、野生の動物の場合はな。生き延びられれば大成するだろうし、そうじゃない時は……
ただ、人間の場合でも、そういう意味の<力>に頼る価値観を一度身に付けてしまうと、それから認識を変えることは並大抵じゃない。大多数の人間は、自分の価値観を否定されることを嫌うだろう? 周囲からどれほど批難されようと、『おかしい!』『間違ってる!』と指摘されようと、逆に意固地になってしまうことの方が多いんじゃないか? 現に、そういう輩がニュースになることがあるよな。
他人と揉め事を起こして、なのに『自分は間違ってない』と言い張って、『間違ってるのは他人だ、社会だ』と意固地になる奴。
そうなる前に、そんな価値観を持ってしまう前に、まず、力を行使することの意味と責任を分かってもらわないといけないはずなんだよな。
これは本来、親の役目のはずなんだ。
『自分がしなくても誰かが教えてくれる』
『学校で教えてくれる』
というのは、典型的な<甘え>だよな。
加えて、
『他人に厳しい』
というのは、裏を返せば、
『自分に甘い』
ってことだ。自分の思い通りになってくれることを他人に強要しようとして厳しい態度になる。それを、
『お前のためを思って』
と言い訳をする。実際には、
『自分の思い通りにならないのが許せない』
だけなのにな。
実は、<攻撃的な気性>も、『自分こそが正しいという価値観を持ってしまう前に、力を行使することの意味と責任を分かってもらう』ことで抑えることができる。
外敵に襲撃されているわけでもないのに、攻撃的に振る舞う必要がある場面でもないのに、他人に対して攻撃的に振る舞うのは、
『攻撃的な自分の気性に甘えてる』
だけだしな。
人間の場合は。
野性の動物の場合は必要な資質だとしても、
『人間は他の動物とは違う』
と言うのなら、そのままじゃダメだろう。
だから、
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