ビアンカ編 実は毒だが必要なもの
「お疲れさま」
「お疲れ~♡」
その彼女を、
<労い>は、大切だ。労うこともせずに頑張り続けてもらうことを期待するとか、それ自体が<甘え>というものだろう。
だから俺達は、お互いを労う。そして子供達には、
『相手を労う』
ということを実地で学んでもらう。
『実際に手本を見せる以上の<効果的な手本>はない』
それを心に刻んで、ルコアや
と同時に、ビアンカ自身のケアも忘れちゃいけない。
人間は綺麗事だけではやっていけないのは、紛れもない事実だ。俺だって散々、他人に対して憤ったりもしてきた。そんな感情を抑えられたのは、結局、
<抑えることができる理由>
があったからと、実感する。両親から愛されていた実感が、俺を支えてくれていたんだ。となれば、当然、ビアンカにも、
<愛されている実感>
が必要だと思う。
ただ、彼女の場合は、実の両親からのそれは、いささか乏しいのだと言う。となれば、それを別なところで補う必要が出てくる。
その、<別なところ>とは何かと言えば、そりゃあもう、
彼には励んでもらうしかない。
「もちろん、僕もそのつもりだよ。ビアンカは、僕にとっても何者にも代え難い女性だ。太陽そのものなんだよ」
しかもそれが紛れもなく本心だというのが伝わってくるのがすごい。彼自身、血の繋がった実の家族の存在は、残念なことに、安らぎをもたらしてくれるものではなかった。彼の魂そのものを強く縛り付ける、ある意味では<呪い>にも等しいものだった。それから解き放ってくれるビアンカは、まさに<救い>なんだろう。
これはある意味では<依存>とさえ言えるものかもしれないが、事実上、ビアンカにとっても同じなので、今の時点では、上手く活かしていくことを目指す他ない。
他にあてがあるわけでもないしな。
<依存>というやつは、扱いを誤ると猛毒にさえなるものの、人間の子供だって幼いうちは親に依存するんだから、人間が精神的に成長する過程においては、必要なものであるという面もあるらしい。
<実は毒だが必要なもの>
ということであれば、<酸素>や<水>なんかも人間が生きるうえで必要な物なわけだし、まあ、そういうことなんだろう。
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