モニカとハートマン編 杭
本当に、『これまでの苦労はなんだったんだ?』ってくらいにあっさりとエレクシアが
「改めて人間(地球人)の技術力はとんでもないんだな……」
とも呟いてしまう。
そうだ。人間(地球人)は、光の速さでも何万年も掛かる距離さえ数時間で飛び越え、たった一発のミサイルで惑星すら破壊するほどの技術力を得た。それこそが人間(地球人)の<力>だ。個々の肉体の脆弱さなど、技術の前には実に瑣末な問題なんだ。
まあ、サーモバリック爆弾を凌いで見せたのには、さすがに背筋が凍ったが。
それでも、これが限界だろう。
そうだ。これで終わりなんだ。
なのにその時、
「っ!?」
エレクシアが飛び退いた。飛び退こうとした。
ガキャッッ!!
という嫌な音と共に。
「え……?」
「はい……?」
俺とシモーヌは、ドローンが捉えた映像の中で何が起こったのかをすぐに理解できなかったが、
「
唸るような
いや、彼女の<左腕>に、か。
エレクシアの左腕の形がおかしいんだ。彼女の左腕から何か、鋭いものが生えていて。
……違う…! 何かが彼女の左腕を貫いているんだと、俺はようやく理解した。そこに、
「
エレクシアからの報告。とても冷静で冷淡で、いつもの彼女とまったく変わらない、けれど、これまで聞いたことのないそれが俺の頭に染み込んでくるまでに、たっぷり数秒の時間を要しただろう。そんな俺に、エレクシアが補足説明を。
「
……は? はあ……!?
右前腕部の<尺骨>を…?
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