麗編 阪
アカトキツユ村に誰が住むことになるのかは分からないものの、アリゼドラぜ村では
ただ、縄張りを接する雌達に現時点でフリーなのはおらず、しかもそのうちの二人ばかりは、
その子達については、敢えて名前は付けてない。積極的に干渉するつもりもないしな。
今度こそ。今度こそ余計な手出しはしないようにと思う。
人間はそんな簡単に割り切れないのは事実でも、だからといってすべてを救うことはできないこともまた事実。
要するに、
<救えなかった時のための予防線を張ってる>
と言われればまさにその通りなんだ。
人間は弱い。気力を振り絞るにもその基となる<何か>が必要で、現実を受け止めるにも、やっぱりその<何か>は要る。
<墓を作るという行為>
も、その<何か>のうちの一つだろう。
俺の場合は、普段からこうして自分に言い聞かせることなんだよ。
と、いかんいかん、また話が逸れる。
新暦〇〇三四年一月二日。
なんてことをしてる間に、ついに、
彼女の体を舐めながら。
そして、
「うぅおうおうおうぉぉぉ~……」
悲しげに一声上げて……
彼女の命が終わったことを悟ったんだろうな。
レオンは、仲間が死ぬとその亡骸を食べることも多いが、
これは、
とは言え、敢えて食べないことも実は必ずしも珍しくはないみたいなんだ。他の事例についてはまだ十分に詳細が分かってはいないものの、少なくとも
これが、何日も獲物にありつけずに飢えている状態だったら、まず自分達が生きることを優先しても当然だと思う。
こういうところでも、人間は、
『死んだ同族を食べるとか、なんと邪悪な!!』
とか言って、<悪認定>してしまいがちなんだろうな。
ずっと
それを、よく知りもしないで自分の感覚だけで<邪悪>と決め付けてしまうことこそが、俺には<邪悪>に見えるけどな。
悪がないところに悪を作るとか。
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