保編 親密

何と言うか、うん、いろいろあったが、まあ落ち着くところに落ち着いたと思う。


人間ほど<恋愛の駆け引き>みたいなことをしないから、割とすれ違いも、こう、シンプルなんじゃないかな。


正直、人間の場合だとなんでみどりすばるを意識し始めたのか分からんところもありそうなものの、他のパパニアンよりも精神的な成長が遅れてただけで、それがようやく、<年頃>のそれになったところに、すばるの活躍が目に留まった感じかもしれない。


しかし、あんまり時間が掛かったことで今度はたもつの方も妹離れできなくなってたんだろう。









新暦〇〇三十一年四月二十日。




その後も、みどりたもつに会いに行ってたが、さすがにもう、巣立って他の群れに合流したたもつが構ってやることはなかった。


そして代わりに、すばるが、不器用ながらもそんなみどりを慰めるように頭を撫でたり毛繕いをしてくれるようになったんだ。


で、やがてみどりたもつに会いに行かなくなって、すばると一緒にいるようになって。


ちなみに、すばるがいない時にはあおに甘えていたな。


あおも、そんなみどりを邪険にするでもなく、甘えさせてくれていた。


まあ、くれないひらくにしてみると、親子ほど年の離れた姉が母親を独占することがあるのは納得いかなかったらしいものの、それも一時的なことだった。


もう今じゃ、すっかりすばるみどりはパートナーのように……とまではいってないようだが、それでも随分と親密にはなってるようだ。


それでいいと思う。他とは違ってても、別にいいじゃないか。




そんなこんなで、たもつは巣立ち、みどりすばると親しくなりつつある。


あまり盛り上がるような話じゃなかっただろうが、当面はこの感じで触れていこうと思ってる。


と、その前に、あかり達のことにも触れておこうか。


と言っても、向こうは向こうで順調だし平穏だし、俺が口出しするようなことは何もない。久利生くりうもしっかりとボスの役目を果たしてくれてる。


ビアンカも久利生くりうと上手くいっていてすごく幸せそうだ。


きたる未来みらいの育児に頑張ってるし。


あかりは、そんな家族の様子に満たされてる。久利生くりうとの関係はまだだが、本人は焦ってる気配もない。このまままた、じゅんの時と同じように進展しないまま終わる可能性もちらつきつつも、まあまだ、始まったばかりだしな。これが何年経ってもそのままなら、その時にまた考えればいいだけか。


で、次は、たもつの件の陰で起こってたえいの話をすることにしようか。


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