來編 俺こそが法律
で、ビアンカ達が向き合わなくちゃいけない<現実>は、他にもある。
医療の問題だ。
ただ、ビアンカはそうはいかない。アラニーズである彼女が入れる治療カプセルはないし、治療カプセル自体が高度な医療マシンなので、今の設備では再現できないんだ。
つまり、ビアンカが入れるような治療カプセルは用意できないということ。
最悪、<医療用ナノマシン注射>で延命を図りつつ、現時点で可能な治療を行うという形になるだろう。
これについても、ビアンカは、
「はい。分かっています。覚悟はできています……」
と言ってくれている。
この辺りは、軍人ならではのことかもしれない。
その一方で、俺達だって手をこまねいてるわけじゃない。
医療に関する知識だけなら
人間社会では原則として行えないことになっている、
『ロボットによる医療行為』
だって、まともな医療施設も専門の医師もいない現状では、<救急救命措置>という解釈で、メイトギアによる外科手術だって可能だ。
まあ、
法律的な解釈だと、
『ペットの出産を補助した』
程度の扱いになるはずだ。
まあ実際に人間社会で同じことをすれば、
『人間と見做すか否か?』
って点でまず大揉めに揉めるだろう。
厳密な法解釈の下では、厳格に、
『人間ではない』
とされるはずだが、さすがに遺伝子上も人間が混じっているとなれば、大論争が巻き起こるのは間違いないしな。
人間ってのは、感情を持つだけに、<法律上の規定>だけを四角四面に守っていられないという面もある。
クローン人間が、法的な手続きと手順を踏まえた上で晴れて『人間として認められる』可能性が残されているのと同じで、
が、それはあくまで人間社会での話。ここでは全く関係ない。
現状では、
『俺、
状態ではある。
だからと言ってさすがに暴君のように振る舞えばエレクシア達も素直に命令に従ってくれなくなるからそんなことはしないが、
<緊急避難的な非常措置>
は今も続いてるんだよな。
ただし、今後、ここに人類が誕生して人間社会が築かれれば、いずれはそちらが<法>を作り、俺の方がただの<居候>的な立場になるだろう。
もっとも、それまで生きていられればの話だが。
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