翔編 脱線

ってなわけで、しょうたいは二人目を迎えるのに忙しいようだ。


さりとて、妊娠率もそれほど高くないしで、この辺りは焦っても仕方ないだろう。俺としてはただ見守るだけだ。


で、弟のすいの話に移ろうか。


もっとも、<弟>とは言っても、しょうとは親子ほど年齢が離れている。何しろ何人も<孫>が生まれてからできた子供だし。


しかも、しんが、パルディアのげんと別れて、こうかんを連れて出戻ってからだったからなあ。


とは言え、実は人間社会でもそれは珍しい話じゃない。何しろ、星暦一九〇〇年代には、老化抑制技術の進歩もあって人間の健康寿命は二百歳を超え、百五十歳を超えてもまだ自然妊娠が可能だったりしたからな。女性の場合、二十代から妊娠適齢期と言われるようになり、ざっくり百五十歳までがそうだとしても、百三十年間、妊娠適齢期ってことだ。


だから、年の差百歳以上っていう兄弟姉妹もたまにいる。


とは言え、一般的には一通り人生を楽しんだ後、百歳を過ぎた辺りで子供をっていうのが多いのか。それくらいになれば人生経験もそれなりに積んでるわけだから、まあ、子育てにもそれなりに自信も持てるようになる感じかもしれない。


なので、二十年三十年差の兄弟姉妹は珍しくないものの、大体はまとまった時期に子供を生み育てる例が多いので、『孫が生まれてから次の子』っていうのは、うん、正直、気恥ずかしいっていう空気はある。


ちなみに、以前にも言ったかもしれないが、ここまで青年期~壮年期が長くなると、いちいち年齢を聞いたりするのは野暮だという感覚が根付いてて、他人に年齢を尋ねたり自己紹介で年齢を言ったりということもほぼ廃れてしまった。少なくとも俺が生まれ育った惑星ではそれが<常識>だったな。


さりとて、この辺りも惑星ごとにまあまあ感覚や習慣が違ってたりするから、一律でそうとは限らないけどな。


しかも、ロボット・AI排斥主義者だけじゃなくて、中には科学技術そのものに対して否定的な人間もいて、そういうのが集まってできたコミュニティもあったりするらしい。


ただ、さすがにそういうのはロボット・AI排斥主義者でさえ理解できないレベルらしく、数も少ないから、半ば<都市伝説>のような扱いではある。


そりゃそうだろう。老化抑制処置を受けるだけで二百年以上の寿命を得られるというのにそれさえ拒んで、地球の<産業革命>以前の生活を営んでるらしいなんて、もはや想像を超えるよ。


人間社会を離れたここでさえ、銀河暦一〇〇〇年代から星暦二〇〇〇年代にかけての技術を使ってるわけだし。




って、また話が逸れた!


ホントに治らんなあこの癖も。


そんなわけで、今度こそすいの話をしなきゃな。


……できるだろうか……?


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