翔編 繁殖

新暦〇〇三〇年十月十六日。




ところで、アクシーズは基本的に、一回の妊娠で子供を一人生み、それが巣立ってから次の子供を妊娠するという形が多い。だから余計に、雄は、子供を育ててない雌と子供を作ることがあるんだ。でないと効率が悪いしな。


ちなみに、雄雌の比率は、一対三くらいとみられてる。雄の方が数が少ないということだ。となれば、複数の雌と子供を作るのも当然だろう。


一応、たいは今のところしょう一筋のようだ。とは言っても、たいについては常に監視してるわけじゃないので、気付かないところでよろしくやってる可能性もないわけじゃない。たとえそうでもとやかく言わないつもりだけどな。


こればっかりはアクシーズとしての問題だし。しょうの方も、別にたいを束縛するつもりはない……どころか、子育て中は雄に関心がなくなるらしいんだよ。ようも、しょうすいを育ててる間は俺のことは、二の次、三の次、って感じだったしな。


むしろ他の雌に行かない方が不思議なのか。


しかし、子供が巣立つと、途端にまた発情するようだ。


で、しょうたいは、自分達の巣で仲良く互いの体を舐めあったりしてる。


羽を持ち鳥の特徴があるアクシーズだが、仕草や生態的にはネコを思わせる部分も多い。毛繕いをしている時の様子なんかは、それこそネコそのものだ。特に、脚を大きく上げて自分の下腹部を舐めてたりすると、完全にネコがよく見せるポーズだよ。


あと、ネコがやるようにちょくちょく毛玉を吐き出す。あまり触れてはこなかったが、ようもやってた。しかもその毛玉、消化しきれなかった獲物の骨とかも混じってたりして、実はけっこうホラーな見た目なんだ。


なんか、そういう小さなクリーチャーみたいで、怖いぞ。


なのでさっさとセシリアやエレクシアに始末してもらってた。


自分でやるの、なんか怖かったんだよ!


この時も、たいの毛繕いをした後、しょうがいきなり、


「え”おっ…っ!」


って毛玉を吐き出して、巣の下にペッと捨ててた。すると、それに小さな虫や小動物がたかって、粘膜やら何やらを食べてるようだ。これも自然の循環の一つだなあ。


なんてことを思ってると、しょうたいが睦み合ってた。


当然、次の子供を作るためだ。


マンティアンと同じであまり数が増えるとたちまち餌が不足する、食物連鎖ピラミッドのほぼ頂点にいるアクシーズだからか、妊娠率は決して高くない。次の子供がいつできるかは分からないものの、まあ、一組につき二人はできてくれないと、種を維持するのは難しいよな。


たいが他所で子供を作っていたらまた話は別だが。


ちなみに、ようの時は、しょうあかりすいができたわけだが、あかりはアクシーズとしては数に入らないだろうということで、基本、二人として考えてる。


だから二人できたから、そこで打ち止めとさせてもらった。


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