走・凱編 テスト走行
取り敢えずカーゴスペース内での操作では問題なかったから、次は外でのテスト走行だ。
「?」
カーゴスペースが開いたことに
しかし出てきたのはローバーだったからか、
「? …?」
少し混乱した様子だった。一般的な人間の成人に比べれば知能は高いとは言い難いものの、それでも幼児程度の知能はあるし、記憶力も理解力もそれなりに持ってる。シモーヌ達が来てないことは分かってるんだ。なのにローバーが出てきたことで戸惑ってるんだろう。
警戒してる様子も見せながらも、ローバーがゆっくりといつもの方向に走り出したことでそれ以上身構えることもなく、見送ってくれた。
そうしてアリスシリーズの試験機が運転するローバーは時速二十キロほどの速度で走る。
で、十分離れたところで方向転換。
草原の中をやはり二十キロほどの速度で走る。
ここまでのところは問題ない。
ローバーのボディが軋んでないか、振動が出ないか、歪みは許容範囲に収まってるかを、アリスシリーズの試験機のセンサーで測定する。もちろん、同時にローバーの方でも測定し、アリスシリーズの試験機のセンサーの精度が想定通りに確保されているかを確認した。
「双方共に良好です」
コーネリアス号から送られてくるデータを解析し、エレクシアが伝えてくれる。
まあ、センサーそのものはコーネリアス号に備蓄されていた予備パーツを流用したものだから、組み付けさえ失敗していなければちゃんと機能してて当然なんだ。問題はそれらが一体のロボットとしてバランス良く動作してくれるかどうかだけで。
ただ、高度な機能を要求すると、当然、そのバランスも難しくなる。ドーベルマンDK-aは非常に簡略化したことで安定的に動いてくれていた。
しかし、自動車の運転までできるようなロボットとなると、要求されるレベルは完全に次元が違ってしまう。
だが、今回についてはどうやら上手くいったようだ。
と思ったら、翌日、時速三十キロで走行させると、ローバーの方は問題なかったんだが、アリスシリーズの試験機の方が、入力される情報を捌ききれずに、僅かに操作の遅れが出た。そのせいでローバーが蛇行する。丁度、人間が酒に酔った状態で運転しているような挙動だった。
アリスシリーズは、当面、メイトギアのようなスタンドアロン機ではなく、
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