確か以前にも触れたと思うが、現在、コーネリアス号の周囲では、走（そう）達の獲物となる草食動物を誘き寄せることを目的とした＜畑＞を、ドーベルマンDK-aを使って作っている。

もっとも、そこで作っている＜野菜＞は皆、ここで採れた野生のもののなかで草食動物達が好んで食べるものを選んで栽培しているだけだが。

あくまで草食動物を誘き寄せるための餌場としての畑なので、いくら荒らされても構わない。むしろ、餌となる植物が天候の影響などにより発育が芳しくなくても、ここの畑のそれだけはいつも豊富に実っていることで、それを目当てにした動物も住み着いているくらいだ。

そのうちの何頭かを、走（そう）達の獲物として分けてもらっている形だな。

草食動物達の方にしても、危険はあるもののここに来れば確実に餌にありつけるので、助かっている状態だと思う。

すると今日も、日が暮れ始めたところで、走（そう）達が動き始めた。続いて凱（かい）の群れと凛（りん）達も動き始める。

仲のいい走（そう）達ではあるが、基本的にはそれぞれ別々に狩りをする。

そのため、畑も半径三キロほどの範囲内に五つばかり畑を作ってある。俺達が食べるためのそれじゃないからあまり丁寧に管理はしてないとはいえ、小規模な集落の一つや二つは余裕で賄える規模のものだ。

走（そう）の群れは、今日は、走（そう）、恵（けい）、到（とう）、讃（さん）、釈（しゃく）の五人が狩りに出ていた。まだ幼い彪（ひょう）と藍（らん）は、沢（たく）と一緒に留守番だ。と言うか、釈（しゃく）が狩りに出ている間、沢（たく）が彪（ひょう）と藍（らん）の面倒を見てくれている形になる。

一方、凱（かい）の群れは、凱（かい）、旋（せん）、円（えん）、妍（けん）、枚（まい）、望（ぼう）、憂（うい）が出るようだ。

既にレオンしての体力的なピークが過ぎた阪（ほん）は、幼い艮（こん）と共に留守番だな。

更に、凛（りん）達については、凛（りん）と按（あん）が出る。一応、ボスである侑（ゆう）は、まだ幼い萌（ほう）、朗（ろう）と共に留守番だ。ライオンに近い生態をもつレオンのボスは、基本的に狩りはしないことが多いんだ。

凛（りん）と侑（ゆう）の子の按（あん）はまだかなり若いものの、そろそろ狩りを学ばせようということらしい。

凛（りん）は結構、スパルタのようだ。

こうしてそれぞれが狩りに向かう。

走（そう）の群れでは、釈（しゃく）が狩りを主導する。そして恵（けい）、到（とう）、讃（さん）がサポートをし、走（そう）は狩りにおいては釈（しゃく）達のガードマン的な立場らしい。

これは、凱（かい）も同じである。

しかし、凛（りん）の群れは、凛（りん）と按（あん）の二人だけで、しかも按（あん）はまだ未熟なので、狩りが成功する確率は必ずしも高くない。

ただ、もし、狩りが失敗しても、走（そう）や凱（かい）が、自分達が食べた分が残ればそれを、凛（りん）達の縄張りとの境界線辺りに持っていって放置するので、これまで全く食べるものがないという状態にはなったことがなかった。

きっと完全な野生だとそこまではしないんだろうが、俺の下で育った影響があるんだろうな。

あいつらがそれを良しとしているなら、俺としては見守るだけにとどめよう。

是非うまくやっていってほしいと思うだけだ。

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