明編 デリカシー
単体の戦闘力では
もっとも、人間の感覚で『死角を狙えば余裕』みたいに考えると痛い目を見るだろうがな。
『巨体故に反応が遅れる位置がある』
という意味での死角があるというだけで。
だから群れで同時に襲い掛かる
また、マンティアンが相手だと単純に身軽さの点で不利になる。巨体の割に体重は軽いから比重という点では実はマンティアンよりも軽かったりするものの、単純に重量が大きい分、最初の動きだしで差が出るというわけだ。
実際にマンティアンと
ただしこれらは、あくまで
なので俺は、
「ドローンを接近させて、人間の存在を意識させられないだろうか? 彼女としても人間がいるのなら接触したいだろうし」
とエレクシアに提案してみた。
「了解しました。ドローンを接近させます」
だが、その推測は完全に裏目に出てしまった。
彼女は確かにドローンの接近に気付いた筈なのに、それを避けようとするかのように移動したんだ。
「…あ、そうか。自分の姿を見られたくないのか……!」
迂闊だった。彼女に人間としての感覚があるのなら、完全に怪物同然の今の自分の姿を他人に見られたくないという心理が働いても無理はない。
しかし人間としての感覚があれば、ドローンのカメラに自分の体を晒すのは耐えがたい恥辱だろうな。
加えて、怪物のような体を見られるのも苦痛に感じるか……
これはデリカシーがなかったな。
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