閑話休題 「光と灯」

と、めいの話をする前に、ひかりあかりのことを改めて触れておきたいと思う。


ここまで二人について様々調べてきたが、どうやら二人とも、少なく見積もっても七十年くらいは生きられそうだということが、改めて確認できた。


つまり、俺とほとんど変わらないか、もしかすると俺の方が先に逝く可能性がさらに高まったということでもある。


そしてそれに備えて、二人には、定期的に治療カプセルに入ってもらって<メンテナンス>を受けるようにしてもらった。


少しでも長く健康でいられるようにするためだ。正直なところ二人とも、それぞれパパニアンやアクシーズとしてはまあまあ<いい歳>ではある。


実際、ひかりの双子の兄であるほまれはもう肉体のピークは過ぎつつあるしな。


しかしひかりの方は人間として見ればまだまだ<妙齢>と言っていいと思う。しかも今でも実際に若々しい肉体を保つことができてるわけで。


とは言え、俺やシモーヌが受けてる老化抑制処置に比べれば気休め程度でしかないのも事実。精々、十年や二十年程度、寿命を延ばすのが関の山だろう。


ただ、ここに人間の社会ができるなら、俺が先に逝ってもきっと寂しくないだろうしな。


彼女達は成長が早く、体だけなら十年もすれば立派な大人のそれになる。子育ての時期が短いんだ。だから割と、世代を重ねるのも早いかもしれない。


と同時に、大人になってからの時間も、老化抑制処置を受ける以前の地球人よりは少し長くなる感じか。


場合によると、一気に人口が増える可能性もある。


ひかりあかりはその辺りでは少々<奥手>だから遅いだけで、さらに新しいのが増えてくれば、何と言うか<早熟>なのもいるかもしれない。


が、その一方で……


「……」


調査から帰ってきたあかりが、ふと、空を見上げていた。その視線の先には、アクシーズが滑空している姿。あれは、しょうか…? あかりの姉の。


最近、あかりがそうやって空を眺めてることがある。


本人が何も言わないから俺も敢えて問い掛けないが、もしかすると、アクシーズとしての本能が彼女の中でくすぶっているのかもしれないとも思う。


翼を持ち、滑空程度ではあっても宙を舞うこともできるアクシーズとしての本能が……


パパニアンであるひかりは、本来のパパニアンに比べればさすがに劣るものの、樹上を渡る程度のことはできる。


だが、あかりは、アクシーズのようには……な。


今までは、結構、いろいろなことを経験するので忙しくて意識しなかったが、最近は調査の仕事もすっかり慣れて、いろいろと考える余裕が出てきてしまったのかもな……


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