誉編 スポット

新暦〇〇二七年六月二十八日。




今日も今日とて、とどろきほまれに挑んでいってた。


で、最終的にはやっぱり退けられてたな。かくを相手に<技>を極められたのはやっぱりまぐれだったようだ。


それに、かく相手ではおそらくちゃんと使えるようになってももう通用しないだろう。だから今後は、襲われる前に気付いて全速力で逃げてくれることを望むよ。




ところで、パパニアンの群れでは基本的にボスになれなかった雄は追い出されることが多いんだが、ほまれは敢えてそれをしなかった。ほまれより年上の雄は現在四人。


とどろきのような若手有望株も順調に育ってきてることから、今後、そいつらがボスになれる可能性は、限りなくゼロに近いだろう。


その中の一人(名前を仮にひいらぎとする)は、ほまれよりかなり先に他所の群れからここに加わった<大先輩>である。


それなりに腕っぷしには自信があったであろう力自慢であったが、なぜからい相手にはヘタレてしまい、からっきしいいところがなかった。


その所為か群れの中では万年四位で、しかもらいが群れを追われた時には肉体的なピークも過ぎており、その時点で既にほまれにも実力的に追い抜かれていたようだ。


ちなみに、三代前のボスの時に四位になったんだが、一位はボスなのは当然として、二位はらい、三位は腕力的なそれではなく当時のボスの寵愛を受けていたということでしずかだった。


で、らいが一時的にとはいえボスになった時点では、しずかの地位は急落したものの、二位にはらいの次にボスになった雄、三位はほまれということで、やっぱり四位だったんだよな。


さらにらいが追われて次のボスの時には、二位がほまれ、三位はまた別の雄が座り、結局のところ四位だったという。


そして現在、一位はボスであるほまれ、二位はあお、三位は次のボスと目されている雄。ひいらぎはまたも四位ということだ。


なお、しずかは明らかな衰えをみせるようになってからはもうその辺りの順位は関係なくなってしまっている。完全に静かに余生を送っているだけだな。


あと、とどろきはまだ若すぎるので、<若手有望株>ではあっても、はっきりとした順位をつけられる状態にはまだない。ないものの、実質的には五位か六位相当とは見られているようだ。


そのひいらぎが最近、しずかと同じような姿を見せるようになった。年齢的にはしずかよりは若いはずだが、結局、ボスには届かなかったということで、気力的に萎えてしまったのだろうか。


この辺り、運にも恵まれなかったであろうひいらぎの姿には、悲哀を感じずにはいられない。


こうなってようやくスポットが当たるという点でもな。


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