誉編 学びの場

まだ見た目には<少女>のようにも見えるみことにも、実の子供がいる。


あきらかおりだ。


この二人はとおるよりもさらに小さいので、まだどういう性格かとかいうのは分からない。


ただ、とおるみことにしがみついてると押し退けてでもおっぱいにありつこうとするので、まあ、普通に逞しい感じではあるようだ。


みことも二人を大変可愛がっており、とても仲の良い親子だった。


ただ若干、少し甘いところもあるのかなと思わなくもない。


子供達が少し自分から離れようとするとすっ飛んでいって連れ戻すので、やや<過干渉>気味の傾向があるかもしれないな。


もっともその辺りは彼女の<経験>も影響してることかもしれないので、あまりとやかく言うのも忍びないか。


なにしろ、グンタイ竜グンタイの襲撃で元居た群れの仲間が皆殺しにされるところを目撃してしまったという過去を持っているわけで。


だからいつでも不安なんだろう。また同じようなことがないかってことが。


みことがメイフェアを受け入れてるのも、彼女が群れを守ってくれてるというのを察しているからかもしれない。


なにしろ、子供達がメイフェアに近付いて行こうとするのは止めないんだ。


が、他の雌がそれに気付くとすっ飛んできて連れ戻すけどな。


で、みことがその雌に叱り飛ばされるらしい。


メイフェア曰く、


「ちゃんと見てないとダメでしょ!」


的なことを言われているようだ。


この辺りは、いくら<ボスの嫁>であっても容赦はないらしいな。


ただ、あおはその辺りを理解しているのか、逆に、


「気にしないでいいよ」


的なことを言って慰めてくれるんだと。




また、みことは、子供達がボスであるほまれに対して不敬な真似をしたら首を押さえつけたりもするものの、その一方で、他の子供達からちょっと乱暴に構われたりするとすっ飛んできて庇う姿も何度も目撃されてる。


この点はどうも、自分とあおしずか以外が厳しく接するのは嫌ということのようだ。


とは言え、その辺についても、みこと自身がまだまだ未熟な若輩者で新米ママっていうのもあるだろうから、取り敢えずは様子を見守るだけに留めてる。


そうやって経験を積んで成長していくのはパパニアンも同じか。


<新米ママ>ということであれば、ひかりも同じ。


妊娠を経ずに母乳が出るようになるくらいに強い母性を発揮してても、慣れない育児にあたふたしている様子も見られる。


セシリアやシモーヌの助けを借りて、毎日が学びの場という状態だな。


俺も力になりたいんだが、あかりとシモーヌとセシリアの壁は厚い。


じゅんはある程度、手伝わせてもらえてるんだが、これはじゅんが実際に父親になった時のための予行演習ということか。


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