種族の壁(薄々分かっちゃいたんだが)
新暦〇〇一一年九月二十五日。
こうやって次々と子供達が生まれてくるということは、
実年齢はあれだが、見た目にはミドルティーンくらいにも見えるような感じで、たぶん、精神的にも思春期真っ最中ってところなのかもしれない。もう十分に巣立ってもおかしくない頃だ。それどころか、
取り敢えず今のところは巣立つ様子もないが、もし巣立つとしたらどうするつもりなんだろうとは思う。
「冷静に考えると、
ただ、逆に、木に上ることが自らを守る手段でもある
と、シモーヌは分析する。
「そうなると、このまま密林で暮らす方がまだ安全ということか」
「そうですね。あくまで『比較すると』なだけですが。
ただ、問題はそこじゃないかもしれません」
「<種族の壁>…か」
「はい。この家で暮らしてる限りは種族の違いはそんなに大きな問題にはならなくても、自然の中に戻ればお互いの種族の違いからくる習慣や食生活のズレは無視できないものになるでしょう」
「確かに……
となるとあの子達は、このままずっとこの家で暮らすことになるのかな」
「結論とすればそういうことになるでしょうね。この家と言うか、家は別でもいいかもしれないですが、この環境があの子達には必要かもしれません」
「自然は戻れない…?」
「自然の中ではこの出逢いはなかった訳ですから。あったとしてもこうは上手くいかなかったでしょうね」
「……いずれこういうこともあるかもとは思ってたし、
薄々感じてはいたものの、改めて事実を突きつけられると結構くるな。
あの子達がもし、同種をパートナーとして選びなおすのなら自然に戻れる可能性はあるとしても、もし、今のままなら……
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