6 竜馬と松浦の姫 side A

竜馬りゅうめ

 「りょうめ」とも読む。

 駿馬しゅんめのこと。あるいは伝説上の空飛ぶ馬

 を指す。

 また、『和漢三才図会わかんさんさいずえ』の馬の項目に、

 「『三才図会さんさいずえ』の記載に馬の八尺以上の

 ものを龍と呼ぶ」との記載がある。

  ※『三才図会さんさいずえ』は明代の中国の百科事典。

   『和漢三才図会わかんさんさいずえ』の名の由来。


松浦まつら

 松浦まつうらの古名。現佐賀県から長崎県の

 一部。『肥前国風土記ひぜんのくにふどき』の

 記載を始めとした松浦佐用姫まつらさよひめ伝承が有名。


 序 妻問つまどい道中(https://kakuyomu.jp/works/16816927863205636014/episodes/16817330656118188391)より

  ・妻問つまど

   特に男が女の元へ通う妻問つまどい婚のこと。


  ・三宝さんぽう

   三方さんぽうとも。折敷おしきと呼ばれる

   四角い天板に、板を四角に折った足がつく、

   衝重ついがさねの一種。元はいわゆる「おぜん」の一種

   でしかなかったが、神仏や貴人への、または

   儀礼におけるそなえ物に使用するようになった。

   三方さんぽうの名は足の前と左右の三方向に

   眼象げんしょうないし刳形くりかたと呼ばれる

   穴が空いているから。これが前後左右の四方に

   空いたものは四方という(冗談みたいだが

   冗談でない)


  ・たつのまも いまもえてしか きみつかた せんりのとみ いとうらめしき

   後述通り『万葉集』の旅人たびとの歌からの

   本歌取り(旅人たびとっつったら大伴おおとものやろの頭)

   というか本歌取りぐらいしか和歌の技法使って

   ないんですわな(白目)

   まあ、私、説話専攻で和歌は古文読解基礎レベル

   ですしおすし……

   漢字入れると「たつも 

   今も得てしか 君つ方 千里の遠み

   いと恨めしき」

   竜馬りゅうめを今すぐにでも得たいものだ、

   愛しいお前が千里も遠いのでとても恨めしい、

   みたいな。

   特殊文法は形容詞語幹+みの用法ぐらいじゃない

   かな。

   (例 『枕草子』二月きさらぎつごもりごろにの

   「空寒み 花にまがへて散る雪に〜」の寒み)



 1 待ち合わせ(https://kakuyomu.jp/works/16816927863205636014/episodes/16817330656118356317)より

  ・小夜せれな

   こんな話なんだから当然、松浦佐用姫まつらさよひめ

   かけた名前にしたろ、思うやん。ひねりねーなって

   なるやん。せや、読めそで読めへんライン狙ったろ

   て……(私の関西弁は似非です。

   東西のイントネーション逆転現象とかは知ってる)



 2 奇妙な二人組(https://kakuyomu.jp/works/16816927863205636014/episodes/16817330656118443351)より

  ・セレナーデ小夜曲

   Serenade。一応もとはドイツ語。

   イタリア語だとセレナータ。



 3 浅緋うすあけhttps://kakuyomu.jp/works/16816927863205636014/episodes/16817330656118533638)より

  ・浅緋うすあけ

   平安期以降五位の官位のほうの色。

   生鮭でなく焼いた鮭みたいなピンクと朱色の

   中間のあの色の彩度を高めにした色。

   ※本編でないので情緒は気にしない

   なお、五位は五位鷺ごいさぎや、始皇帝が

   松に与えた秦での官位相当など、人以外にも

   与えられるし、蟹満寺縁起型の『古今著聞集ここんちょもんじゅう』、

   『本朝法華験記ほんちょうほけげんき』、『今昔物語集こんじゃくものがたりしゅう』で

   人に化けた蛇が「五位の姿」と語られるものが

   ある。


  ・水色っぽい服

   確か岩波の新古典大系の『平家物語』注に

   神事に関係する者は薄い浅葱あさぎの衣をまとった

   的なのがあった。それ。


  ・おもちと、あとさかずきとか、あの、水引みずひきのかかった何か

   三日夜餅みかよのもちひ(気が早い)とか三々九度さんさんくど(気が早い)とか

   結納品とか。


  ・白い扇

   結納品の末廣すえひろ


  ・二体の人形

   結納品の高砂たかさご


  ・白馬

   実は生まれついての白馬は希少性が高い。

   ※芦毛が年取って見目が白馬になるのが大半。

   なので、「白馬の王子様」の白馬も相当な

   ステータスシンボルである。



 5 鏡山かがみやまhttps://kakuyomu.jp/works/16816927863205636014/episodes/16817330656119042058)より

  ・鏡山かがみやま

   現長崎県唐津からつ市にある山。

   その名の由来は神功皇后じんぐうこうごう

   遠征時に鏡を置いた山であるからという。

   別名、領巾振山ひれふりやま

   この別名は松浦佐用姫まつらさよひめ伝承において、

   任那みまなに派遣される大伴狭手彦おおとものさでひこをこの山から

   見送り、領巾ひれ(当時の装飾品。細長い布で

   首から垂らす)を振ったことによるものであり、

   この話自体は『万葉集』で歌の題材にもされて

   いる。

   『肥前国風土記ひぜんのくにふどき』ではさらにここから

   苧環おだまき蛇婿へびむこに発展する話が収録されている。

   ふもとには神功皇后じんぐうこうごう藤原広嗣ふじわらのひろつぐ

   まつかがみ神社がある。

   なお、領巾ひれそでを振る行為は相手の魂を

   ふるい立たせる、たまりと呼ばれる

   行為である。

   当然、松浦まつらの範囲内。



 7 真打ち登場(https://kakuyomu.jp/works/16816927863205636014/episodes/16817330656120561428)より

  ・俗に言う薄い本展開

   『日本霊異記』中の四一と『今昔物語集』巻二四の

   九。

   えーと、ざっくりどんな話かというと、蛇に

   はらまされた女の子を堕胎だたいさせるけど、

   ごうが深かった(快楽ちして

   ない?)って話(真顔)

   何一つ間違ってないので困る。古文で教科書に

   載せられる話は限られとるんや……(頭を抱える)


  ・期間が短くても白骨化して〜

   『肥前国風土記ひぜんのくにふどき』での話。

   風土記ふどきの中身はこおりごとに話がまとめられ

   ているが、領巾振山ひれふりやま風土記ふどき本文では褶振山ひれふりやま)は

   松浦郡まつらのこおりに記載されている。

   先述の通り、いわゆる松浦佐用姫まつらさよひめ

   (風土記ふどきでは弟日媛子おとひひめこ。以下佐用姫さよひめで統一)は

   この山の上から任那みまなに派遣される

   大伴狭手彦おおとものさでひこを見送り、領巾ひれを振った。

   『万葉集註釈』における逸文いつぶんはそれのみだが、

   以下の通りの続きがある。

   そうやって見送るように大伴狭手彦おおとものさでひこと恋仲に

   なっていた佐用姫さよひめだが、見送ったその日の晩から、

   毎晩、狭手彦さでひこに似た男がやって来る

   ようになった。

   やがて怪しんだ佐用姫さよひめは糸巻きの糸を直接

   つけた針を男の衣に刺し、翌朝、侍女を連れて、

   その糸の行方を追った。すると、糸は領巾振山ひれふりやま

   頂上の池に続いており、池には蛇の頭に人の身体を

   したものがいた。

   その蛇の頭のものが佐用姫さよひめを認めると、

   すぐに完全な男の姿になって、歌いかけた。

   篠原しのはらの 弟媛おとひめの子を さ一夜ひとゆ

   率寝ゐねてむしだや 家にくださむ

    ※篠原の弟日媛子おとひひめこ佐用姫さよひめよ 一晩でも

    寝てくれたならば家に帰そう

   一方、連れられて来た侍女は急いで引き返し、

   状況を家の者に伝えた。多くの佐用姫さよひめ

   縁者達が領巾振山ひれふりやまの頂上に向かったが、

   辿たどり着いた時には蛇も佐用姫さよひめも姿はなく、

   ただ、池をのぞき込むとそこに骨と化した死体が

   あった。人々はこれが佐用姫さよひめだと考え、

   丁重にほうむった。

   なかなか不気味な説話である。

   また、この話の一方で、かがみの渡りという

   川については、大伴狭手彦おおとものさでひこが送った鏡を

   佐用姫さよひめがそこに落としたことが名の

   由来とする記述もある。



 8 軽快なのか軽薄なのか(https://kakuyomu.jp/works/16816927863205636014/episodes/16817139557946662629)より

  ・うつつにも あよしもなし ぬばたまの よるのいめにも よをつぐましじ

   うつつにも よしもなし 射干玉ぬばたま

   夜のいめにも 世を継ぐましじ

   こう漢字を当てるとだいぶ意味が取れるのでは

   ないか。

   「射干玉ぬばたまの」は夜、黒、夢、髪を引き出す

   枕詞まくらことば。夢をいめとするのは

   後の本文中での解説の通り、本歌の読みを踏襲して

   いる。

   が、3 肝試しと大掃除のside B解説の通り、

   夢の語源は寝目いめとされる。

   「ましじ」は助動詞「まじ」の古形。



 9 本歌取り(https://kakuyomu.jp/works/16816927863205636014/episodes/16817330656123918819)より

  ・とつひと まつらのうらの とめとも とこよならざる うつそみのひと

   遠つ人 松浦まつらの浦の 少女をとめとも

   常世とこよならざる うつそみの人

   やっぱり漢字があるだけでわかりやすさ

   かわるわね。

   本歌は後の本文中解説に譲るとして、「遠つ人」は

   松や松浦まつらなどの松から始まる地名を

   導く枕詞まくらことば。「待つ」と掛けた結果

   である。

   「少女」で「をとめ」読みは古語では割りと普通。

   「うつそみ」は「うつせみ」の古形で現世ないし

   現世の人のこと(元は「うつおみ」)


  ・しもとゆやまのあるじのまなご

   しもとふ山の主の愛子まなご

   「しもとふ」については

   本編side Bでの説明に譲る。

   ……この物語において、先生の異常性というのは

   「言葉」であって、何故ならば、に、

   きっとたぶん、おそらく人語にするならば、

   「愛されている」からで、それを本人も

   また承知している。ので、こんなとこで利用する。

   (そしてロビンとひろが頭を抱える)



 10 一線を引く(https://kakuyomu.jp/works/16816927863205636014/episodes/16817330656146464851)より

  ・rockとpunk

   rockは本来「揺れ動く」という動詞である

   (ロッキングチェアのロッキング)。

   そこからいろいろあって黒人系音楽をルーツにした

   ロックンロールが生まれ、rockに

   「ロック音楽を演奏する」意味が追加

   (この時点までのロックはどちらかというと

   低俗かつ反体制的音楽だった)。

   後このロック音楽(この辺りから反体制的部分が

   抜ける)が様々な分派をした内の一つがpunkで、

   これは攻撃的な部分を持つと同時に、その根底

   としては原初ロックの反体制的な部分に立ち戻ろう

   とした部分がある。

   なおpunkのもともとの意味としては

   「つまらないもの」とか「朽木」が正式だが、

   俗語としては……(R18なので伏せ字)。

   勿論ここで両者が指してるのはその音楽の方の

   根底の心理的な部分。


 11 立ち入るべからず(https://kakuyomu.jp/works/16816927863205636014/episodes/16817330656152176905)より

  ・典拠としたい『古今著聞集ここんちょもんじゅう』だと〜

   『古今著聞集』巻二十 魚蟲禽獣 六九四の話。

   内容については本文中解説の通り。


  ・蛇けのまじな

   めっちゃいろいろある。

   「朝日さす 夕日輝く 日の本の ワラビの恩を

   忘れたか あびらほれんけんそわか」とか、

   「チノネ峠のかぎワラビ 昔の恩を忘れたか 

   なむあびらうんけんそわか」とか、「へびも

   むかじ(むかで)も でて来んな、おれは

   鍛冶屋かじやの娘だぞ、包丁も鎌も持ってるぞ」

   とか。

   ※すべて『日本俗信辞典 動物編』

   (角川ソフィア文庫)参考



 12 全面対決(https://kakuyomu.jp/works/16816927863205636014/episodes/16817330656204375138)より

  ・まつらが ななせのよどは よどめども われはよどまず いもをみさけむ

   松浦川まつらがわ 七瀬ななせよどは 

   よどめども われよどまず 

   いも見放みさけむ

   漢字当てるとこう。

   大伴旅人おおとものたびと

   「松浦川まつらがわ 七瀬ななせよど

   よどむとも われはよどまず 君をし待たむ」

   を本歌にした(断定)

   本歌は「松浦川まつらがわの多くの瀬のよど

   よどもうと、私の心はよどむことなく

   貴方あなたを待ち続けます」という女性側

   視点の歌(でも作者は旅人たびとだよ)

   なお、ここでの七は数が多いことを表す七。

   本歌の女性視点を男性視点に変更し、

   「よど」で仮定条件から

   確定条件の逆接に変更、視点転換したので

   対象と動詞をそれぞれ、「いも」と

   「見放みさく」に変更。

   結果、「松浦川まつらがわの多くの瀬のよど

   よどんでしまったが、私の心はよど

   ことなく、貴女あなたに会って思いを晴らしたい」

   という感じになる。湿度が高い(作者です)


  ・なきてをいだす〜

   ここからの会話は古文(読解)スキルと古語辞典

   頼り。やりげたよ。

   一応漢字当てるとこう。

   「いだすとても、

   如何いかに」

   「く差し込むはそ」

   「あなねたし! あなわづらはし!」

   「真金まかねが針のあなおぞし!」


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