第9話「弔問」

 子供が壊れたおもちゃや傷んだ文房具をまとめていた。捨てるなら分別ぶんべつの必要があろう……と、様子を窺ったところ、神妙な態度で黙禱を捧げている。本人なりに思い入れがあって、いろいろ考えることもあるのだろう。ややあって、気持ちに区切りがついたらしく立ち上がったが、宵闇の迫る小さな庭に下り、スコップで土を掘り始めた。金魚やメダカが死んだら埋めてあげるというのは、わからなくもないが、これはどうだろう。この先、増えても困るし、後々、問題になりはすまいか。

「あの……」

「はぁ、何でしょう」

 裏口に訪問者。サンダルを突っ掛けて応対に出たら、子供の友達と、その母親。二人は黒づくめのかしこまった服装で、小さな花束を携えていた。



                 *



        ショートショート連作『お茶の間怪談』【完】



◆ 縦書き版は第4話「屋根裏」以外、

 Romancer『掌編 -Short Short Stories-』にて無料でお読みいただけます。

 https://romancer.voyager.co.jp/?p=116877&post_type=rmcposts


◆ 初出は、いずれも note(2015年)退会済。

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お茶の間怪談 深川夏眠 @fukagawanatsumi

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