転入
4月中旬ここ国立霧夢学院と言う地元じゃそこそこ有名な進学校の校門で佇む者が一人
「ここだよな」
引っ越してから下見の時間など沢山あったがどうも気が進まず下見をして無いため謎の不安に襲われてる
「どうかしました?」
背後から声をかけられ振り向くと肩らへんで切り揃えられた髪、セミショートだろうか茶色く染まった髪を春風になびかせながらキョトンとしたような目で見ていた。なかなかになかなかな胸をお持ちだが別に気にするようなことじゃないな。ま平均よりちょい大きめぐらいだろ。
「あ、ああ…」
「ん?カオナシ?」
いやそれは違う
「えっとな今日から転入なんだが本当にここで合ってるか不安になったんだよ」
「そうなの!?私も今日から転入なんだ!よろしくね!え…えっと?」
「西宮碧だ」
「よろしくね西宮君。あ、私楠朱音よろしくね」
「よろしく」
なんだろうなこの感じ。ぱっと見誰とでも仲良くしてくれそうな優しい女の子である。なぜか分からないが体がこいつ嫌がっている。なんでだろうか…
とりあえず目的は同じという事で二人揃って職員室に向うと
「お前らが転入生か」
「はい西宮です」
「楠です」
「そうか、じゃあこっちに来いお前らの教室はこっちだ」
「同じクラスかな?」
「さぁな」
ちなみに俺がこっちでやる姿は基本的に静かな人間だ。
別に友達も多く作ろうとは思わない。それに「うぇ〜い」とか言っているやつはノリで動くので害が及ぶ可能性があるため、長くいるこの街では陰キャで安全に過ごそうと言う事だ。
「ここだ、二人とも私が合図したら入ってくれ」
「はい」
「はい」
「同じクラスだねよろしく」
「ああよろしく」
二人との間に静寂が訪れる。別に居心地が悪いとかは無い。そんな中その言葉が俺の心臓に雷を落としていった
「君の顔はどれ?」
!!?
バレた!?この俺の俺すら騙せるこの仮面を!?心臓が早くなっていくのが分かる。
その言葉の真意を確かめようと彼女の方を見る。その顔は先程の優しい可愛い女の子では無く、ニヒルに笑った。悪魔が人間に対し嘲笑う様な表情だった。
そう言う事か…こんな誰からでも好かれそうな子に対しこんな嫌な感じがしていたのは自分と同じ存在だからだ。そう同族嫌悪だ
「入れ」
「お呼びだね」
「ああ」
この話はとりあえず終わりにして教室に入ろう。
碧はもう一度表情を作り直し演じたい自分になる。
「自己紹介を」
「楠朱音です。諸事情により一人暮らしです!色々分からないのでよろしくお願いします!」
振りまく笑顔、態と主張する胸。男子を手中に収めようってとこか
「「おおおお!」」
まそりゃそうだろうな、見た目ならこのクラスで1、2を争うほどに美人で可愛いだろう。
「西宮碧です…」
どうせ頑張ったってこの騒がしい中自己紹介もままならんだろう。適当に済ませ先生に視線を送る
「うむ。楠は窓辺の席、西宮はそこの廊下側の席に座ってくれ」
「はい」
そうして俺は席に付き若干騒がしさが残る中でのホームルームとなった。
「これで以上だ、っと委員長」
「は、はい!」
「楠と西宮の学校案内を頼む」
「わかりました」
そしてホームルームは終わり授業に入る。ホームルームの騒がしさ的に授業も騒がしのかと思ったがさすが国立進学校授業に関しては皆真面目、担当教科の先生に言われたことをメモし問題を解いている。
そしてまぁ来てしまった昼休み。来るときコンビニで買ったカロリーの入った固形食で昼飯を済ませる。まぁ物足りなさは否めないが明日から学食だから今日だけの心房だ。
「西宮君」
「ん…?あ〜」
「委員長の高瀬綾たかせあやです。学校案内を頼まれたので誘いに来たんですけど?」
その反応的になんか怠そうだな。別に気にしなくていいのにな
「悪い別に案内とか…」
「高瀬さん!なになに案内よろしくね」
断ろうとその言葉を出そうとした瞬間、タイミングよく?あの女が現れた。本当余計なことを…
とてもいい笑顔だな。『ざまぁ〜』とでも言いたいのか?まだ俺こいつに恨みを買った覚えはないのだが…
「楠さん!?」
「よろしくね」
でもお前の予測通りに動くのも癪だ
「俺の事は気にしなくていい、二人で行ってくれ。女子同士話に花を咲かせればよいかと?」
それから数秒沈黙が流れると
「そうだね楠さん行こうか」
「そうだね…ちっ」
聞こえてるぞ、と口パク伝え俺は俺で学校の探索に入る。まず学食の場所くらい把握したい。
「ぼっちで居たい訳ではないがなんかぼっちルート辿ってる気がするな」
一人で学校探索している間、色々考えてた結果自分が何かミスった気がしてならない。まぁ楠のせいで俺の印象は限り無く薄くなってるからな…。毎時間話しかけられてた楠にさっきの委員長との会話がクラスメイトとの初めての会話の俺。
「ミスった…か?」
今からでも明るい顔してちょっと人見知りでした…て感じにすれば軌道修正くらいできそうだな…もしくは怪しまれて終わりか
リスクがでかいから辞めるか…
「はぁ…帰ろ」
なんとなくの学校の構造を頭に入れた碧は教室に帰ろうと今来た道を引き返した。
「…碧く…ん?」
こちらを向く視線など気づくこともないく
青春の欺面 @harukazekano
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