シンデレラに捧ぐ
ハコ
第1話電池
部屋の掛け時計の電池が切れたことに気がついてから3日経った。
「明日電池を替えよう」と思って、それからさらに1週間が経っていた。
明日まわそうと思った洗濯物は明日、明日、と明日が6回続いて結局は週に1度。
明日作ろうと思って買った夕飯用の食材は、賞味期限を2日すぎた日の朝ようやく冷蔵庫から取り出した。
明日、明日を繰り返すうちに気づいたら大人になっていた。
学生の時はあれほど長かった1年が、気がつけば終わっている。耳にたこができるくらい聞いた「1年はあっという間」「20歳超えると人生早いよ」という大人たちの言葉の意味を、25歳になって私は知った。
そして実感した。
一体何をどうしてこの歳まで生きてきたのだろう、と不思議に思うほど。
初めてのめり込める趣味を見つけた中学時代
初めて彼氏が出来た高校時代
大人の楽しみを覚えた大学時代
大人の大変さを知った20代前半
そして今は寂し差を持て余す20代後半
何してんだろ私。
日々の仕事にも追われ、なんのために働いてるかとか考えなくなった。
「分かりません」と言って笑って許して貰えるのは若い女の子だけの特権だったのだと、自分がもう若い女の子から除外されて初めて気がついた
シンデレラに捧ぐ ハコ @chaser
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