妖怪達の恋愛短編集。あやかしの総大将ぬらりひょんは百鬼夜行の最中、ある話を口にしました。「知ってるか?満月の夜に心中したやつは来世で結ばれるのよ。」それを聞いた付喪神やら野狐やら百目鬼やらは、何やらそわそわと落ち着かなく、思い悩んでいる様子……。果たして彼らの恋は成就するのだろうか?月夜に入道雲に乗っかって、江戸から東海道を経て京の都まで。愛しく哀しい不気味なあやかし達の恋愛譚を、どうぞお楽しみください。
繊細な描写や高い文章力、飽きさせない話の構成、夢中になれる物語です。私は恋愛小説はあまり読まないのですが、この物語は、魅力的なあやかしたちと、話ごとに全く違う恋愛模様で、どの話も面白く読めます。うつくしく、哀しいあやかしたちの生き様が丁寧に描かれ、妖怪の出る小説をあまり読まなかったり、また、私のように恋愛小説をあまり読まない人でも楽しめる作品です。一話目だけでも読んでみて下さいください。絶対に、この物語に夢中になります。
まず、圧倒的な文章力です。それがぶれることなく一貫していて素晴らしい。豪華な妖怪のオンパレードで、どの妖怪も艶のある魅力を持っています。恋愛模様の描写も、世界観に合った粋な表現が多く、素敵だなと感じました。