7-5 俺たちの旅

「平……」


 甘えるように、トリムが俺の胸にキスしてきた。裸のトリムは、うっすら汗をかいている。


「好き……」


 久しぶりにトリムとしっぽり過ごし、心には安らぎが広がっていた。なんというか……あるべきところに収まったというか、俺は今、居るべき場所に立っているというか。


「にしても驚いたな」

「なにが……。あたしがいろんなことしたから? 珠状態で、みんなの仕方を見て覚えたんだよ」

「そうじゃなくて、その……」


 驚いたのは、トリムの体が、初めてのときに戻っていたからだ。多分だが、魂の欠片から肉体が復活したので「まっさら」になったということだろう。


「まあいいや」


 指摘するのはためらわられた。というかシンプルに恥ずかしい。


「なによ」


 顔を起こす。エルフ特有の澄んだ瞳で、俺をじっと見つめてきた。


「なんか、ヘンなこと考えてるんでしょ」


 トリムのきれいな胸の先が、俺の胸を刺激してくる。


「いや別に。……ただトリム、かわいいなあって思ってただけだよ」

「嘘。平のこと、自分のようにわかるもん、あたし。ぜえったいなにか、いやらしいこと考えてた」

「なんだ、もう一度してほしいのか」


 照れ隠しに抱き寄せた。そのままキスを与える。


「ん……ん……」


 目を閉じて、トリムは俺のキスに応えている。強く抱いて背中を撫でてやると、思わずといった様子で声が漏れた。


「処女に戻っても、開発されてたのは覚えてるんだな。体が」

「やっぱりヘンなことじゃん」


 睨まれたわw


「このドエッチ」

「もっと責めてくれ。ご褒美だ」

「変態。スケベ。エロヒューマン」

「変態ニンゲン、再起動っ!」

「あっ!」


 押し倒すとまた、トリムの脚を開かせた。


          ●


「結局、五回もした……」


 ぼそっ。トリムが呟く。汗まみれで、俺に抱かれたまま。


「トリムのことが好きだからさ。俺達、相思相愛だろ」

「……うん」


 俺の胸に顔を埋めてくる。


「好き……」

「よしよし」

「ねえ平」

「なんだよ。腹減ったか。冷蔵庫からケーキ取ってきてやろうか」

「うん。ありがと」


 俺の胸を撫でてくれる。


「でもその前に聞いておきたいんだ」

「なんだよ」

「これからどうするの。この大陸に来たの、あたしを蘇らせるためでしょ。その目的は達したよ」

「それな……」


 もう一度キスすると、抱き寄せた。トリムの脚を掴み、俺の下半身に乗せてやる。こうすると腹から胸まで、温かなトリムの体が密着するからな。


「この大陸にも、拠点を確保した。ドラゴニュートの隠れ里にな。しばらくは基本、向こうの大陸とこっちとで遊ぶわ。異世界でサボりまくるという、俺様の野望のために」

「いいね」

「あと……やることもあるな」

「うん……。あの邪神でしょ」

「ああ。あいつはエンリルの親の仇だしな。それにこの世界のどこやらで策動してやがる。俺の遊び場を好き勝手に壊されてたまるかってんだ。あんなカス、この俺が叩き潰してやる」

「どうやるの、平」

「あの影野郎が消えた経路を、キラリンにマーキングさせたからな。そいつを辿れば、本体の場所はわかる。痛い目を見せてやろうじゃないか」

「いいね」


 トリムが俺にしがみついてきた。


「あたしも久々、大暴れしたいし」

「決まりだな。遊びながら地図踏破の手伝いでもしてやろう。今の三木本Iリサーチチームは、俺のダチだしな。少しは助けてやるさ」

「地図を作りながら、モンスター戦の勘所を取り戻すんだね」

「そういうことだ。トリム、お前を加えた戦闘は久しぶりだからな」

「楽しみだよ、平」

「よしよし」


 仰向けにさせた。形のいい胸が、天井を指している。その先を、からかうように撫でてやった。


「……またするの」

「ああ。お前が悪いんだぞ。俺にそれだけ惚れさせたんだからな」

「うん……」


 胸を撫でられながら、トリムは瞳を閉じた。うっとりと。


「あたしにお仕置きして。平をずっとほっておいた、そのお仕置きを……」

「よし」


 その晩は朝までずっと、トリムの体に溺れた。心がまた繋がるように。結果、翌日眠くて、経営企画室の会議でガッツリ寝落ちしちゃったよ。呆れた室長に促された吉野さんが、俺の頭をひっぱたいて起こしてくれたけどさ。


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